新任取締役の経営手帳

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あなたの年金は大丈夫?

日本の年金について知っておきたい基本的な知識をまとめてみました。

あなたの年金は大丈夫?

 

 

先日、音声配信SNS「Clubhouse」で、「年金」の話題で盛り上がっていたルームがあり、興味深く拝聴していました。

そのルームは、中小企業の経営者さんらが多く、普通の会社員よりもそれなりに社会経験値がありそうな感じだったのですが、不思議なことに「年金」については、仕組みなど含めて、意外と把握されていないんだなぁ、と思いました。

ふと、公的「年金」について調べてみようと、作ったのがこの記事です。

そこで出てきた年金に対する誤解について、

 

年金は積立?

日本年金機構から、ときどき送られてくる「ねんきん定期便」なんかを見ると、毎月のように年金保険料が取られていて、銀行の積立のように自分の資産が積み上がっているように思っている人がいるようです。

はたして、そうなのでしょうか?

ちなみに「ねんきん定期便」は、加入者の年齢によって記載内容が多少異なります。

あなたの年金は大丈夫?

 

まずは、年金の基礎的な情報から取り上げていきたいと思います。

 

 

年金支給総額=積立総額 ではない:「賦課方式」で現役世代から受給世代へ

毎月の年金保険料の支払いで、それが自分のために積み立てられているように見えますが、実際には積み立てられてはおらず、毎月の年金保険料の支払いは、現在の年金受給者への支給に充てられています。これを世代間の「賦課(ふか)方式」と言います。

どうも、先日のルームの感じですと、この点を誤解されている方々が多いようです。

なお、シンガポールなどの国では、「積立方式」で、年金支給総額=積立総額 (+α)となっている年金制度もあります。

 

 

自分の年金は運用で増やされている?

そして、「年金=積立」と併せて誤解されているのが、自分が支払った年金が積み立てられ、それが株式等に運用されている、という点。

たまに、「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」の運用で利益が出たり、大きな損などでメディアが報じられて、そんなイメージをいだきやすいのかと思います。

実際に、「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」で、公的年金の運用をしています。実際には、運用しているのは、自分たちが支払った年金保険料全てではなく、年金財源の余剰分で、ごく僅かです。

 

 

年金をもらうためには最低「120ヶ月」以上の加入実績が必要

たしかに「年金」は、自分の資産でもあるわけですが、自分が毎月入金した総額を、無条件ですべてもらえるわけではありません。

年金の受給資格というのが決まっています。現在のところ、最低「120ヶ月」以上の加入実績が必要としています。120ヶ月、つまり10年間、支払わないといけません。

 

 

年金支給は原則「65歳」から

そして、「120ヶ月」の期間を支払っても、すぐには年金を受け取ることができません。

現在のところ、65歳以降に年金を受け取ることができます。なお、これは本人が受け取る老齢基礎年金の場合です。本人が亡くなった後に支払われる「遺族年金」などは、65歳よりも前に受け取ることも可能です。

 

 

年金支給総額は一括で支給されない

自分が支払った年金保険料は、一括で支給されるわけではありません。そういう点で、銀行の積立預金などとはちょっと異なります。

一括支給ではなく、毎月(実際には2ヶ月に1度)支給される形となります。

また、その金額の目安は、「ねんきん定期便」などに、年金支給資格となる65歳以降に、支給される年金の月額が明記されています。

 

 

年金を得する人と損する人

65歳の年金受け取りを開始して、長生きすればするほど、自分が支払った年金保険料以上を受け取ることもありえます。

逆に、長生きできないと、支給期間が短く、払い損となることもありえます。つまり、損益分岐点となる期間があります。

 

ここまでは、年金に加入する個人の視点での話でしたが、
社員を抱える経営者の視点では、こんな話もあります。

 

 

経営者の声「年金保険料納付ヤダなぁー」

企業の会社員の場合は、公的年金の中の「厚生年金」という仕組みに加入します。

この年金保険料は、社員の各自の給与額に応じた保険料が定まっていて、その保険料を企業と社員が折半する形となります。

たとえば、月額30万円程度の給与の場合、協会けんぽの令和2年度保険料額表(東京)によれば、厚生年金保険料:54,900 円、さらに健康保険料:29,610円を毎月支払うことになります。毎月約85,000円、会社負担はこの半分ですので、約4万円です。社員本人負担は、4万円/30万円=約10%です。

厚生年金は、年金支給資格となる65歳以降に支給される年金の金額が、支払った保険料の金額に応じて増減していきます。社員自身には、今使うお金が減り、老後になって、あとから還元されるような感じになります。

しかし、企業側には、社員の数の分だけ、総額で納める保険料が増えていきますので、財政的な余裕の少ない企業には、それなりの負担となります。企業負担分を法定福利費として費用になる以外には、何もメリットがないのが現状です。

 

 

個人の国民年金が、将来時のもらい損が少ないのでは?

会社勤めでない人などは、厚生年金ではなく「国民年金保険」への加入となり、毎月16,610円の定額の保険料(2021年6月現在)です。

さきほどの、厚生年金のように、収入の10%近くを取られるのと比べると、負担額は抑えた金額かと思います。その分、年金支給資格となる65歳以降に支給される年金金額は、厚生年金のよりも少なくなります。

しかし、前述のように、65歳以降の寿命次第で、支払った保険料に見合った年金支給を受けられる人と、そうでない人がでてきます。支払った保険料が高額になればなるほど、損益分岐点となる年齢も上がってきます。

そう考えると、厚生年金よりも低額の国民年金保険の方が、そのリスクは低くなると思います。

 

 

iDeCoも併用して自分で年金づくり

今後の日本では、少子高齢化が進んでいくと、前述のように、現役世代の年金保険料で、シニアへの年金支給に充てるような仕組みでは、その運営に支障が出てくるのが明らかです。支給開始年齢が65歳から引き上げられたり、現役世代の年金保険料を上げたりする、といったことも現実味が帯びてきます。

自分の年金は自分で作るという意味では、NISAやiDeCoなどを活用していくというのありかと思います。

過去に、下のような記事を作っていますので、よろしければご参考ください。

 

 

 


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