会社法改正で、役員報酬の方針の決定の決議をお忘れなく。
ここ最近、役員報酬周りの開示が盛んです。
有価証券報告書での役員報酬開示の改正(2019年)
2019年3月期からの有価証券報告書には、役員報酬の開示の強化が始まりました。従来の報酬総額のほかに、役員報酬の方針・決定方法などの内容の開示が求められるようになりました。
具体的には、
- 役員の報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針の内容及び決定方法
- 役員の報酬等に関する株主総会の決議年月日及び決議の内容
- 役員の報酬等の額の決定過程における取締役会及び指名・報酬諮問委員会の活動内容
といった項目についての記載がされるようになりました。
改正・施行されて1年ほど経ち、いろいろな会社の有価証券報告の記載例が出揃い、それらを見てみると、今のところ、詳細に書かれている会社もあれば、簡潔にまとめられている会社もあり、温度差があるように感じます。
そして、今度は会社法でも似たような改正が始まっています。
会社法の改正「取締役の個人別の報酬等の内容についての決定」(2021年)
会社法が改正され、会社法361条7項が定められました。
その内容は、
監査役会設置会社(基本的に上場会社) / 監査等委員会設置会社の取締役会は、「取締役の個人別の報酬等の内容についての決定に関する方針として法務省令で定める事項」(取締役の個人別の報酬等に係る決定方針)を決定しなければならない
というものです。
この施行により、施行日である2021年3月1日時点で、上内容の報酬等の決定方針が定められていることが原則として必要、もしくは3月1日以降なるべく早いタイミングで定める必要ということです。
基本的な内容は、前述の有価証券報告書に記載されている内容と同様なので、そこできちんと取締役会等で機関決定されているのであれば、この会社法改正のために何かを作らなければいけないということは、基本的にはないでしょう。
しかし、有価証券報告書での当該項目の記載内容が薄い会社は、対応が必要かもしれません。(思い当たるところで、2-3の会社では対応が漏れていたような。)