僕が偉そうなことを言っていても、3割は間違っている。その3割の誤差を埋めてくれるのが、社外取締役だと思っています。
by 田中 通泰
「取締役」とは何か
昔、社会人になったばかりのころは、取締役と聞くと、すごくエライ人という感覚でした。
アメリカでは、株主の中から取締役が選ばれ、取締役が業務を運営する執行役員(いわゆる、CEOやCFOといった人たち)を選ぶというような構造で、「所有者と経営者」が分離されていることが多いです。つまり、取締役=業務の責任者というわけではありません。
しかし、日本の場合、取締役=会社の中での業務上の高職位、ということがほとんどです。たとえば、取締役が、営業本部長や製造本部長などの職位を兼ねていたりします。
自分で会社を作ったり、他の会社の取締役などに就いたりして、取締役の法律上の役割というのが、徐々にわかってきました。
会社は「法人」という一つの人なのですが、当然のことながら、法人単独で動いたり、意思決定を行うことはできません。その法人が動くために、人間が取締役として委任され、会社の意思決定や業務を行うようになるわけです。法人は他の法人の株主にはなれますが、取締役になれないのはこのためです(おそらく)。
社外取締役とは
最近では、外部の人を取り入れて、社外取締役を任命される会社もあります。
未上場ベンチャーの場合ですと、出資を受けているベンチャーキャピタルから取締役が派遣されるということもあります。
株式上場会社の社外取締役の顔ぶれをみていると、弁護士や会計士、税理士といった方々が多いです。きちんと、法的あるいは会計的な見地から、会社経営に対して指摘をされるのならばよいのですが、単なるお飾りという場合もあります。
中には、異業種の会社経営者を、社外取締役になっていただいて、違う発想や視点などを取締役会に取り入れている会社もあります。
たとえば、ユニクロの柳井社長が、ソフトバンクの社外取締役に就任されています。
本来の社外取締役の役割とは
上場会社ですと、コーポレートガバナンス上、そういう体制が求められるという背景もあります。
東京証券取引所が定めるコーポレートガバナンス・コードには、社外取締役の役割として、以下のようなことが期待されています。
【原則4-7.独立社外取締役の役割・責務】
上場会社は、独立社外取締役には、特に以下の役割・責務を果たすことが期待されることに留意しつつ、その有効な活用を図るべきである。
- 経営の方針や経営改善について、自らの知見に基づき、会社の持続的 な成長を促し中長期的な企業価値の向上を図る、との観点からの助言を行うこと
- 経営陣幹部の選解任その他の取締役会の重要な意思決定を通じ、経営 の監督を行うこと
- 会社と経営陣・支配株主等との間の利益相反を監督すること
- 経営陣・支配株主から独立した立場で、少数株主をはじめとするステークホルダーの意見を取締役会に適切に反映させること
簡単に言えば、社外取締役は、業務執行取締役や株主らとは中立的な立場から、会社の成長に必要なことを行うことが役割と言えます。