ビジネスを営む上で、世の中の景気動向は、定期的にチェックする必要があります。
GDPとは何か
その国の経済規模を表す指標の一つに「国内総生産:Gross Domestic Product(以下、GDP)」というものがあります。
国内総生産は、経済を総合的に把握する統計である国民経済計算の中の一指標で、GDPの伸び率が経済成長率に値する。原則として国内総生産には市場で取引された財やサービスの生産のみが計上される。
テレビのニュースや新聞などでGDP成長率が報じられると、なんとなくそれが、経済の好不況のように感じてしまいます。
日本は世界3位のGDP
世界でのGDP順位は、2017年の推定値では、
- 1位:アメリカ合衆国:19,362.13 × 10億ドル
- 2位:中華人民共和国:11,937.56 × 10億ドル
- 3位:日本:4,884.49 × 10億ドル
となっています。
ちなみに、10年前の2007年では、
- 1位:アメリカ合衆国:14,477.63 × 10億ドル
- 2位:日本:4,515.26 × 10億ドル
- 3位:中華人民共和国:3,571.45 × 10億ドル
という状態でした。
この10年間での中国経済の躍進が著しいことがわかります。
日本の2016年度のGDPは524兆円
年度 | GDP |
---|---|
1994/4-3 | 4,267,917 億円 |
2000/4-3 | 4,642,398 億円 |
2016/4-3 | 5,243,271 億円 |
20年ぐらいGDPの推移を見てみると、その間にリーマンショックなどの経済ショックや311の大震災などがあったものの、緩やかに伸びていて、現在では500兆円を超えています。
そして、その日本のGDPの中身について、調べてみると。。。
GDPの増加要因:民間分野での支出が増加
年度 | 民間最終消費支出 | 民間企業設備 |
---|---|---|
1994/4-3 | 2,455,793 億円 | 607,882 億円 |
2000/4-3 | 2,640,321 億円 | 726,522 億円 |
2016/4-3 | 2,970,890 億円 | 826,022 億円 |
GDPの内訳をみると、「民間最終消費支出」「民間企業設備」として、生活者や企業による増加があることがわかります。
しかし、上にのせていませんが、「民間住宅」はかなり減っています。
GDPを構成する要素の中で、この民間部門での支出以上に増えているものがあります。
政府がGDPの100兆円を支える
年度 | 政府最終消費支出 |
---|---|
1994/4-3 | 723,096. 億円 |
2000/4-3 | 844,879. 億円 |
2016/4-3 | 1,057,228 億円 |
政府最終消費支出とは
政府最終消費支出とは、政府による消費財への支払いや公務員サ-ビス(給料)のことを指します。 政府サービスの産出額(=雇用者報酬+中間投入+固定資本減耗+生産・輸入品に課される税)から商品・非商品販売額を差し引き,現物社会給付等を加えた額です。
政府最終消費支出というのは、簡単に言えば、「防衛、警察などによる公共の秩序・安全、教育といった公共サービス」に関連する支出で、その中身には、
「公共サービスの提供に要した費用(公務員の人件費を含む)」
+
「医療保険や介護保険給付の政府負担分等の現物社会給付」
+
「ダムや公共施設等の公共施設の固定資本減耗(減価償却に相当)」
といったものが含まれています。
政府最終消費支出は、1994年度から2016年度で約46%増え、直近では100兆円分、GDPのうち約20%を占めています。
GDPを構成する要素の一つとして、政府による支出額の増加が大きいことがわかります。
ところで、GDPは、世界的に定義された式に基づいて計算されていると思っていましたが、どうやら違うようです。
GDPの計算方法は非公開で国家機密
国内総生産は各国の経済力を示す一番重要な指標であるが、計算方法を公開していない推計値である
このGDPの計算は、日本の場合、内閣府が行なっています。
しかし、その計算方法は公開されていません。
信頼性の低いGDP:計算方法は各国で非公開
各国で公表されるGDPも、計算方法が明らかになっていません。
旧ソ連のGDPは公表の半分で、中国は公表の1/3である。
中国は、特に電力消費が10%減であるにもかかわらず経済成長が8%であることに疑義を唱える。
といった疑念があるようで、さきほど見た、世界3位の中国のGDPは、ひょっとしたら偽りの数字なのかもしれません。
今後、ニュースや新聞でGDPの発表を見かけた際には、その内容通りに受け止めない方がいいのかもしれません。
新幹線のグリーン車の隣席の空き具合とGDPの数字を照らし合わせて考える習慣を長く続けています。
by 小宮 一慶