今がコロナバブルなのかどうかを、統計データから検証してみました。
コロナで、飲食店などの対面ビジネスを中心とした業態などでは、閉店・廃業などが多く発生しています。しかし、そのような経済的への悪影響が大きい中、一方で金融市場は株高の状態になっています。かっこよい言い方をすれば、実体経済に相反する状態ということになります。
感覚的には、金余りが金融市場で回遊しているような気がして、まるで1990年前後の日本の不動産バブルの構図に似ているようにも感じます。
ここでは、いくつかの点を検証してみて、現状がバブルなのか、どうかを検証してみようと思います。
なお、予めお断りしておくと、たいていの場合、「あのときバブルだった」と、あとから気づくもので、今がそうなのかどうかというのは、判断がなかなか難しいものです。ここで述べていることが大きくハズレていることもありえます。
お金の流通量
日銀のマネーストック(M2)の動向をみると、こんな状況に。
「マネーストック」というのは、日銀の解説文をそのまま持ってくると、以下のようなものです。
マネーストックとは
「金融部門から経済全体に供給されている通貨の総量」のことです。
具体的には、一般法人、個人、地方公共団体などの通貨保有主体(金融機関・中央政府を除いた経済主体)が保有する通貨(現金通貨や預金通貨など)の残高を集計しています。
簡単に言えば、日本経済に投入されているお金の量です。
グラフを見て、明らかのように、2020年はかなり急伸しています。2000年初頭からそれまでは、おおよそ2%前後に推移していましたが、2020年には約9%伸びています。それだけ日本経済にお金が供給されていることを表していて、事業主向けの持続化給付金や家庭向けの特別定額給付金など、国の施策の現れでもあります。
その供給したお金で、モノを買ったりして、実経済に回っていれば問題は少ないのですが、どこかで滞っていると、のちのちに大きな問題に発展する可能性があります。
生活者の動向
内閣府がまとめているGDP速報をみると、最新のもので2020年7-9月の状況になります。
その「四半期別の実質成長率」によると、
国内家計最終消費支出:前年同期比 -8.3%
企業の動向
同じくGDP速報の「国内総生産(支出側)及び各需要項目」の2020年7-9月の状況を見ると、
民間企業設備:前年比 -2.4% (2次速報値)
これらをみると、生活者も企業も、この状況で、支出を抑えていることがわかります。お金の供給はされるものの、使わなければ、どんどん溜まっていきます。
余ったお金が金融市場に?
現金のままタンス預金ということを除けば、溜まっていく先は金融機関の口座です。金融機関ではお金の状態で留めておくのではなく、利殖性が高く換金性の高いものに変えていくことになります。その一部(あるいは大部分)が金融市場に流れ、株高現象を産んでいる形とも推測されます。
冒頭に述べた、1980年代の土地バブルと似たような構図に似たものを感じます。1980年当時は、土地などの不動産を担保とした貸付を繰り返すことで、お金の供給量は急増しました。
時価総額の総計とGDPの比率
「バフェット指数」という、その国の経済力と、株式時価総額の総計を対比した数値があります。ちなみに、この「バフェット」は、世界の投資家のウォーレン・バフェットです。
グラフにすると、下のような感じになります。100未満が割安で、100を超えると割高となります。
直近の状況を見ると、 これは。。。
ハードランディングで大暴落?
上でのいくつかの状態をみると、やはり現状「コロナバブル」の中にいると思います。
ただ、これで大暴落や大恐慌が必ず起きるわけではなく、供給過ぎたお金を日銀等がうまく回収できれば、いわゆるソフトランディングができれば、大きな問題に発展することはなく、解決できるでしょう。
かない難易度が高いと思いますが。
あるいは、超インフレを起こしてしまえば、通貨の増加分の影響を吸収できるかもしれませんが、これはこれで、実体経済への影響が大きすぎます。
ちなみに、1980年の不動産バブルの崩壊では、日銀の公定歩合(懐かしい響き。今の政策金利)の利率をあげて、お金を引き上げさせることができたものの、その縮小の勢いが急すぎて、バブル崩壊の一因になったと考えられています。
今回のお金の回収がどういう方法で行われるのかはわかりませんが、一般的に、金利が上がると、株安になることが多いです。
すると。。。そういうことですね。
大暴落の可能性は低いにしても、何かしらの調整局面の状態になるでしょうかね。