2019年10月に、ソフトバンク・グループのビジョンファンドが投資していた「WeWork」社で発生した資金繰り問題で、同社の企業価値について紹介されているのを見て、なんとなく、大根の話を思い浮かべてしまいました。
モノの適正価値
一本の大根があったとします。
2019年10月現在、大根一本の小売価格は、だいたい200-300円ぐらいです。
もし、大根一本を150円で売られているお店に出会えたら、お買い得と言えます。
逆に、500円ぐらいで売られているのならば、よほど必要な用がない限り、ちょっと買い控えてしまいそうです。
このように、モノには基準となる価格があって、高い・安いというのを判断しています。
ここに、一本5,000円という大根があったら、どうでしょう。
よほど特殊な大根なのか、稀少性があるのかもしれません。
しかし、しょせん大根です。
飾って置き続けるわけにもいかず、いずれ食べてしまわないといけません。
何か話題性があり、高級飲食店などでは、需要があるのかもしれませんが、普通の人には、なかなか手が出しにくい価格です。
5兆円の企業価値?WeWork
報道によるとWeWork社の企業価値は、
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2017年:169億ドル
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2019年1月:470億ドル(約5兆円)
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現在(2019年10月):80億ドル(約8,000円)
というようになっています。
WeWork社は、未上場の会社ですので、上の価格は、資金調達時に投資家が出資したときの企業価値です。
WeWork社の直近(2018年)の業績は
- 売上:1,821,751千㌦(約1,800億円)
- 営業損失:▲1,690,999千㌦(約▲1,690億円)
- 純損失▲1,927,419千㌦(約▲1,900億円)
この業績で、しかも大きな損失が続いている状態で、5兆円の企業価値というのは、なかなかバリュエーションが高いですね。
WeWorkの同業他社の価値
WeWork社と同様なサービスオフィスを行なっている会社として、 IWG(Regus)社があり、それと比較しますと、
- 時価総額:34.66億ポンド(約4,800億円)
直近(2018年)の業績は
- 売上:2,535.4 百万ポンド(約3,500億円)
- 営業利益:154.1 百万ポンド (約215億円)
- 純利益:105.7 百万ポンド(約147億円)
*2019年10月の為替1ポンド=140円として計算
IWG(Regus)社の企業価値(時価総額)は、WeWork社と比べると、PER(株価収益率)が約30倍と、リーズナブルというか、説明がつきやすい価格です。
高い買い物だなーというのが実感します。
果たして、どうなるのでしょう?
人類の不幸の大半は、ものごとの価値を計り間違えることによってもたらされる。
by ベンジャミン・フランクリン