2022年12月14日にIPOするスカイマークは、上昇気流に乗れるかどうか。

日本の航空会社の一つ、スカイマークが、2022年12月に東京証券取引所にIPOされます。
スカイマークは、2000年に上場していましたが、経営悪化による民事再生により2015年に上場廃止。その後、経営再建をすすめてきました。
その経営再建を行った結果での、今回のIPOと思うのですが、果たしてどのぐらい経営成績が変わったのかを見てみたいと思います。
売上は7年前から激減!
まずは 業績
2015年度 (上場廃止) |
2022年度 (申請期) |
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売上高(百万円) | 80,946 | 47,147 |
当期純利益(百万円) | △20,218 | △6,729 |
純資産額(百万円) | 24,506 | 9,299 |
1株当たり純資産額(円) | 264.01 | 196.67 |
現金及び現金同等物の期末残高(百万円) | 2,379 | 9,282 |
大幅な改善があったようには見えませんが、細かいところで改善しているのでしょう。
売上が2/3ぐらいになりましたが、赤字額は縮小していてます。不採算路線等を廃止したりして、収益率を高めていったのではないでしょうか。
ただ、ここ3年は、コロナの影響で、交通・観光産業にとっては冬の時代でしたので、上数値がフルな状態での業績ではないとは思います。
運行状況変わらず、むしろ減っている
つづいて 運行状況。
2015年度 (上場廃止) |
2022年度 (申請期) |
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機数(機) | ボーイング737-800: 27 | ボーイング737-800:29 |
運航乗務員(人) | 206 | 262 |
有償旅客数(人) | 6,540,986 | 4,167,503 |
有効座席キロ(千席・キロ) | 10,052,358 | 8,371,874 |
有償座席利用率(%) | 66.8 | 51.83 |
飛行機の数や、飛行機を動かすパイロットの人数は増えています。しかし、運行状況的には、コロナ禍のためか、こちらも大幅な改善があったようには見えない状態です。
株価100倍?!
そして、株価は。
2015年度 (上場廃止) |
2022年度 (申請期) |
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株価(円) | 10円(上場廃止時) 〜520円 |
1,150~1,170円(仮条件) |
企業価値(億円) | 9億円(上場廃止時) 474億円 |
693億円(仮条件) |
業績等がさほど変わらないのに、企業価値はこんなにあがるんですね。実態に伴っていないIPO価格のようにも見えますが。。。。上場廃止時にスポンサーとなった大株主のご意向なんでしょうかね。
投資対象としての航空業界
日本には、スカイマークだけでなく、JALやANAといった航空会社も上場しています。
私個人的には、この航空業界は、投資対象としては難しいと思い、手を出していないです。
あるとき、飛行機に乗っていたときに、こんな計算をしてみたことがあります。
【この便の収支】
- 売上:平均運賃1万5千円×搭乗客300人=450万円
これ以外に貨物運搬の収入 - 費用:人件費 乗員10名 3時間×5000円 = 15万円
燃油代
1時間に9,470リットルの燃油消費
平均燃油代17,000円
1バレル158.987リットル
9,470リットル≒59.6バレル
59.6バレル×17,000円=1,013,200円 →約100万円/時間 - 着陸駐機代等 約100万円(着陸料60万円、停留代、搭乗橋使用料・・・)
- その他経費
上数値は、ざっくりとした概算なので、正確性は欠くのですが、意外と費用がかかり、フライトの粗利率は、かなり悪い感じという印象がありました。
とくに、乗客の人数に関係なくかかってくる費用部分が非常に大きい。「搭乗客が少ないので、このフライトの運行は中止となりました」というわけにもいかず、ガラガラの機内だと、かなりの赤字だということがわかります。
航空会社の業績は、輸送部分の売上に関しては、提供できる座席数と路線数が決まっているので、売上を拡大していくというのがなかなか難しい構造です。
売上の上限が決まっていて、空席率をいかに減らして、機会損失を減らしていくかという形になります。また、事故発生や天候の影響も受けるので、売上が下がるリスクがつねにあります。
利益率も、大昔のような大金持ち向けから大衆的となり、格安航空券等も出てきて、定価で航空券が売れることはなく、利益が出しづらい。
投資家ウォーレン・バフェットのこんな言葉があります
ライト兄弟の飛行機が最初に離陸したとき、資本家がキティホークにいたのなら、彼らはその飛行機を撃墜すべきだった
ウォーレン・バフェットが、その昔、航空会社の株式を大量に購入したもの、一向に思ったようにならずに、最終的に売却。その損失の恨みを表したかのような言葉です。
再上場するスカイマークが、上昇できるかどうか。
しばらくウォッチしてみたいと思います。