2年ほど前に、電力会社の電気の原価、つまり発電コストについて、記事にしたことがあります。
あの記事を書いてから、エネルギー価格や為替がかなり上がり、電力会社での発電コストがどれぐらい上がっているのかを調べてみようと、前回の記事でも取り上げた「電源開発」(J-Power)の財務資料を見てみました。
公表されている有価証券報告書から、
- 発電事業・電気供給業(2020年3月度)
販売された電力量:73,131 百万kWh
上の販売金額(電力料・託送料):631,011 百万円
電力単価: 631,011 百万円 ÷ 73,131 百万kWh = 8.62円/kWh - 発電事業・電気供給業(2022年3月度)
販売された電力量:68,467百万kWh
上の販売金額(電力料・託送料):1,362,461 百万円
電力単価: 1,362,461 百万円 ÷ 68,467百万kWh = 19.89円/kWh
となり、まとめると、こうなりました。
卸電力会社の販売価格
2020年度:8.62円/kWh↓
2023年度:19.89円/kWh
約2.3倍の価格になっていました。
2023年3月の電気事業は、売上:1兆4,202億円、利益:545億円 となっていますので、利益率は3.83%。2020年3月期の利益率は3.99%で、若干利益率が下がっています。4%前後の利益が取れるように、電気の販売価格を設定しているのでしょうか。発電コストが増えた分、そのまま販売価格に転嫁できるのは、羨ましい業態です。
利益率は変わらないですが、利益額はかなり増えています。これだけの増加ですと、企業全体の損益的にもインパクトがありそうです。「電源開発」(J-Power)の利益状況を見てみると、
- 当期純利益
2020年:42,277百万円
2023年:113,689百万円 - 自己資本利益率
2020年:5.3%
2023年:11.4%
当期純利益が、倍以上に増えています。エネルギー価格や為替の上昇で、かなりの利益の恩恵があることがわかります。電力販売以外にも、海外での石炭販売等が好調だったということも増益の要因の一つです。