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まだまだアナログな会社設立の登記作業

15年ぶりの会社設立作業の所感。

 

まだまだアナログな会社設立の登記作業

 

 

先日、とある会社の設立作業に携わる機会がありました。

今回作るのは「株式会社」の形態で、「株式会社」の設立作業は約15年ぶりです。

 

まず15年の間に起きた変化として、

  1. 定款認証が電子OKに
  2. 電子定款の場合 印紙代不要
  3. 電子定款の場合 公証役場にデータ送信。受取方式に!

といったことが印象的でした。

 

定款認証の電子化

会社の基礎となる「定款」。
従来は「紙」で作成し、それを公証役場に持っていく流れでした。

私は司法書士などの法律の専門家ではないので、正確な起源はわかりませんが、
前の商法から会社法に変わり、今は定款は「紙」でなくとも済むようになりました。

私が、15年ほど前に会社設立したときには、すでに会社法の時代だったので、そのときでも電子定款で設立をすることは可能だったのかもしれませんが。作った定款のデータに電子署名をするために、自分で電子証明書を取得したりとか、そういう手続きがよくわからず。結局、紙で出力して、製本テープで綴じて、発起人各自が各ページに押印していくという、伝統的なやり方を行った記憶があります。

今では、電子認証を代行してくれる司法書士さんがすぐに見つかり、定款とその他必要書類データを司法書士さんに送付するだけで、公証役場から電子定款を受け取れるようになり、当時と比べて、かなり楽になりました。

さらに、紙での定款の場合は、その定款に約4万円の印紙を貼付する必要がありましたが、電子定款の場合は、その印紙も不要に!これは大きな違いです。

 

アナログな手続きが残る法務局

従来と比べて、定款認証まではデータでのやり取りで済むようになり、かなり今風な感じになってきました。

ところが、設立登記の申請手続きを行う法務局が、まだまだアナログな感じです。

本人に、ある程度の知識があれば、法務局が用意している申請用総合ソフトを入手して、そのソフトからオンラインで法務局に登記申請ができます。

しかし、「ある程度の知識」というのが、ハードルが高い。以前、増資や役員の変更などの登記を、申請用総合ソフトからオンラインで行ってきた経験はありますが、会社設立登記の記載内容で、何か間違えていたりすると、その後の事業開始に影響があったりするとやっかいなので、雛形書面を使って、紙での提出が無難だと感じます。(増資や役員の変更などの登記は、会社設立後のことなので、設立登記と比べると、ミスった時の影響はまだ低い)

最近では、「QRコード(二次元バーコード)付き書面申請」というのも可能となり、法務局としてもオンラインでの受付を広げているのだとは思いますが。それでも、最終的には、登記書類や添付書類を持参して、法務局に出向かないといけないので、あまりオンライン化の意味がちょっと弱いのが残念。(データで受け取ることで、法務局内での事務作業の効率化にしか恩恵がないように思います。)

 

アナログな税務署や自治体税事務所

法務局での設立登記が終わると、税務署に新設法人の届けを行う必要があります。

これも紙での提出です。

申請を行うのは国税庁と地方自治体税事務所の2箇所。e-taxを使えば、国税庁に電子申請も可能かもしれませんが、地方自治体税事務所はまた別の申請ソフトが必要となります。

けっきょく、オンラインで行うとすると。めんどくさいので、紙で提出したほうがラク。

さらに、社会保険を適用させるために、社会保険事務所なんかにも新設法人の届けを行う必要がありますが、こちらも紙ベース。e-govで電子申請ができるかもしれないけど、わざわざこのために法人の電子証明書を費用をかけて取得するというのも、なんだかもったいので、こちらも紙ベース。

会社設立には、まだまだアナログな作業が残っていると感じました。とはいえ、徐々に変化していっていることは感じます。数年後、完全にオンラインでできるようになるといいなぁと思います。

 


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