取締役会議事録も「ハンコの廃止」になる?
世間的に「ハンコの廃止」がトレンドとなってきています。
契約手続きを大幅にスリム化する電子契約サービス
私自身、弁護士ドットコムなどの電子契約サービスを使っていますが、かなりラクです。
従来でしたら、
契約文面を両者が合意したら、
↓
それを印刷して、
↓
製本テープで止めて、
↓
必要に応じて印紙を貼り、
↓
自分のところを押印して、
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相手方に送り、相手方からの返印を待つ、
という流れで、順調に進んでも1週間ぐらいかかります。
それが、電子契約ならば、
契約文面を両者が合意したら、
↓
契約書面をサイトにアップして、
↓
相手方に承認のサインボタンをお願いする
だけになります。
何よりも「印紙がいらない」というのが大きな魅力です。現状は、印紙税法上、電子書面が対象から外れているのですが、いずれ印紙対象になりそうな予感もしますが。。。
ハンコの廃止と業務のスリム化
「ハンコの廃止」は、ハンコを押すためにわざわざ出勤するという問題は、代表者印のように社外への持ち出しが禁じられている場合もあり、一律廃止というのは難しいかもしれません。
そのほかに、お役所のように、いくつもの決裁者や確認者がいて、稟議書類にいくつもの押印が押されていくという構造は、滞留が起こりやすく、スムーズな決裁への妨げになりやすいとも言えます。
何人ものハンコが押されることで、責任を分散化させるというのは、古き良き文化だったと言えます。
取締役の重要な責務:取締役会議事録に「ハンコを押す」
会社の取締役という仕事では、取締役会議事録にハンコを押す、というのが重要な責務の一つです。
もちろん、その取締役会の決議の賛否への参加も重要ですが、議事録にはその過程や結果が残り、のちのちその判断をきっかけに、会社に損害を与えることとなった場合には、その決議に加わった取締役の責任が問われることがあります。
そういう意味で、取締役会が行われた後に作成される取締役会議事録には、きちんと内容を確認して、ハンコを押す必要があります。
取締役会議事録にも「ハンコの廃止」
この取締役会議事録へのハンコの押印にも、電子化の流れが来ているようです。
法務局への登記の際に、その取締役会議事録が使えるかどうかという点で、従来でも電子化された書類を用いることができました。
従来では、押印する取締役らが、各々の電子証明書を取得し、署名するような形でした。明らかに、役員のシニア率の高い会社ですと実行の難易度が高く、実物のハンコを押した方がラクです。
しかし、このご時世、その要件が緩和され、電子証明書がない状態でのサインも、登記に適法な取締会議事録として認められるようになるとか。
ただ、本人の電子証明書がない場合、「本人なりすまし」というリスクがあります。本人の知らないところで、謎の取締役会議事録が作られ、自分が押印していたことになっていて、会社の意思決定をされていた、ということもありえます。
私個人的な感想として、取締役会議事録が電子化されると、かなり画期的です。その前に、取締役会自体もオンラインでできるようになると、もっと画期的です。(オンラインの取締役会は法的にすでには認められていますが、私が関わっている会社ではまだ未導入なので、今後に期待したいです。)