東京証券取引所から「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた対応方針」が発令されました。
- 東京証券取引所からの新型コロナウイルス感染症に関する通達
- (1)新型コロナウイルス感染症による業績予想の影響
- (2)新型コロナウイルス感染症のリスク情報の開示
- (3)新型コロナウイルス感染症を原因とする上場廃止基準の緩和
- 上場申請中の企業にも特例が
新型コロナウイルス感染症の影響が、まだまだ続いています。
企業業績へのダメージ不安や現金確保の投資行動により、株式等の金融マーケットでの影響がかなり大きく出ています。
東京証券取引所からの新型コロナウイルス感染症に関する通達
東京証券取引所では、2020年3月18日に
- 新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた対応方針について
- 新型コロナウイルス感染症に関するリスク情報の早期開示のお願い
という案内がでました。
併せて、東京証券取引所に上場している会社には、
- 東証上場 第9号:新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた対応方針について
- 東証上会 第470号:新型コロナウイルス感染症の影響の開示に関する留意事項について
- 東証上会 第471号:新型コロナウイルス感染症に関するリスク情報の早期開示のお願い
という通達が出ました。
東京証券取引所に上場している企業には、大きく分けて以下の3つの対応が示されています。
(1)新型コロナウイルス感染症による業績予想の影響
新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、業績予想修正等の開示を行う場合は、自社の状況に応じて、事業活動や経営成績に及ぼす影響等、可能な限り具体的に説明する
今回の新型コロナウイルス感染は、 一般消費や企業の生産活動への影響がありますので、企業の業績への影響が発生しえます。
(2)新型コロナウイルス感染症のリスク情報の開示
・決算発表では、感染症に関するリスク情報について、積極的に充実した説明を行う
・決算説明会のプレゼンテーション資料等で具体的説明を行う場合、当該説明会資料等についても、開示資料と併せてTDnetに登録する
新型コロナウイルス感染症の終息時期の長期化によっては、企業の業績への影響も長引きますので そういう点などをリスクとして認識し、開示する必要があります。
(3)新型コロナウイルス感染症を原因とする上場廃止基準の緩和
新型コロナウイルス感染症を起因とした「債務超過」、および監査法人の「意見不表明」、「事業活動の停止」などが生じても、猶予期間を通常よりも延長したりなど、緩和処置が行われる
新型コロナウイルス感染症を起因とした「債務超過」「事業活動の停止」の際にも、上場廃止までの猶予期間が延長されるそうです。
上場申請中の企業にも特例が
IPOに向けて上場審査中あるいはこれから審査をうける企業にも、いくつか特例がでています。
- 企業の継続性及び収益性等:新型コロナウイルス感染症の影響が事業計画に適切に反映されているかどうかを審査
- 企業内容等の開示の適正性:新型コロナウイルス感染症の影響が適切に開示書類(リスク情報・業績予想等)に反映されているかどうかを審査
- 限定付適正意見:実地棚卸の立会や事業所の往査が困難な場合における申請直前期の限定付適正意見を容認
- 再審査時の審査料:新型コロナウイルス感染症の影響で上場承認に至らなかった場合の再審査料を免除
とくに対応の負担が大きそうなのが、今回の新型コロナウイルス感染症のようなことが発生の際のリスク認識をどうするかでしょうか。
私も、IPO準備している企業の中にいたとき、ライブドアショック後の市場の正常対策化の一環でJ-SOXが急に始まり、その対応を急遽追加しなくてはならず、けっこう大変だったことを思い出します。ふつうにしていると、上場時期が1-2年伸びてしまいます。
早く新型コロナウイルス感染症が収束してほしいものですね。