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役員の定年

会社の役員の定年について。

 

役員の定年

 

 

従業員は「60歳定年」が8割

従業員の場合は、「定年」制度が定められている会社がほとんどです。

厚生労働省の平成27年「就労条件総合調査」によれば、以下のような状況になっていて、「60歳」を定年とする会社が多いことがわかります。65歳まで含めれば、96%です。

従業員の定年年齢の導入状況
従業員の定年年齢 導入比率
60歳 80.5%
61~64歳 2.6%
65歳 16.1%
66歳以上 0.8%

 

なお、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第8条により、以下のように定められています。つまり、60歳よりも下の年齢で定年とすることができなくなっています。

事業主がその雇用する労働者の定年の定めをする場合には、当該定年は、六十歳を下回ることができない。

 

 

役員の定年は?

従業員の場合は、被雇用者という立場です。

一方、取締役・監査役などの役員の場合は、 会社を代表する事業主の一部として、雇用者となり、社員を雇用する側の人間となります。「労働者」という立場ではなく、労災などの対象にもなりせん。

 法律では、役員の定年について明記されているものはなく、90歳や100歳でも、役員として活動しつづけることが可能です。

 ですが、そうすると、後進に譲るということが難しくなりますので、役員定年制度を導入している会社もあります。

 

 

役員の定年の導入状況

産労総合研究所で実施している「役員報酬の実態に関する調査」の2016年の公表結果によると、役員の定年は以下のような状態です。

 

役員の定年年齢の導入状況
職位 導入率 平均定年年齢
会長 32.8% 69.7歳
社長 35.8% 67.3歳
副社長 44.4% 66.1歳
専務取締役 54.8% 65.4歳
常務取締役 58.2% 64.5歳
取締役 56.9% 63.3歳

 

「会長」「社長」は、「創業者が多い」「一度得た権力を離したくない」ということどうかはわかりませんが、定年年齢が高く、また定年で退くということが少ないということが現れているように感じます。それ以外の取締役は、概ね65歳前後で定年としている会社が半数います。

 

 

役員の定年の導入方法

取締役・監査役などの役員に、定年制度を設ける方法は、いくつかあります。

 

役員職務規程で役員の定年を定める

「役員職務規程」などのような内規で、役員の定年を定めることがあります。

たとえば、こんな感じです。

(役員の定年)

役員の定年は、原則として以下に定めるとおりとする。

会長:70歳

社長:67歳

役付き取締役:65歳

その他取締役:62歳
監査役:65歳

 

あるいは、こんなパターンもあります。

(役員の定年)

役員の定年は、会長・社長は、定年の定めなしとし、その他役員は、65歳をもって定年とする。

 

この定年に定める年齢に達した時は、その任期満了の総会閉会で退職となります。

 

 

定款で役員の定年を定める方法

定款に、取締役・監査役の定年を定めることも可能です。

 

 

役員の定年は法的拘束力はない:株主総会で選任されれば、定年は関係ない

なお、役員の定年について、定款や内規で定めても、法的拘束力はないとのことです。

会社法では取締役・監査役の人物要件には、年齢について明記されておらず、また定年を超えた者を株主総会で役員に選任されれば、定款などに定年の旨が明記されていても、役員となってしまいます。

 

 



人は権力を持つとどうしても手放したくなくなるもの。新陳代謝を起こす仕掛けとして、「取締役の60歳定年制」のメリットは大きいでしょう。
by 熊切 直美(大東建託・社長)


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