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税金120億円でつくった巨大トマソン、沖縄・海洋博「アクアポリス」の顛末

この間、沖縄を訪れた際に、気になったのが1975年に開催された、沖縄国際海洋博覧会で、海上にあった展示施設「アクアポリス」。この記事では、その「アクアポリス」について調べてみました。

税金120億円でつくった巨大トマソン、沖縄・海洋博「アクアポリス」の顛末

沖縄の人気観光スポット・美ら海水族館

 

 

沖縄の定番・観光スポット「美ら海水族館」。
「美ら海水族館」があるのは海洋博公園で、1975年に開催された「沖縄国際海洋博覧会」の会場が、イベント開催後に国営沖縄記念公園として整備されたものです。

 

「沖縄国際海洋博覧会」とは

1975年に沖縄で開催された「沖縄国際海洋博覧会」、通称「海洋博」。

いわゆる「万博」のように、国や企業がパビリオンをつくる国際展示イベントで、この「海洋博」が、「海-その望ましい未来」をテーマにしたものでした。

 

当時の海洋博の様子を写したいくつかの動画が、youtubeでも見れます。

たとえば、こんな動画です。


www.youtube.com

 

映像を見ていると、昭和感の漂う雰囲気。

1975年というと、沖縄が日本に返還されたのが1972年ですので、その3年後。

まだまだ、復興まもない感じも伝わってきます。

 

「沖縄国際海洋博覧会」自体の経済的な効果としては、

  • 博覧会の全体収支を14.92億円の黒字

  • 最終的な入場者数は約349万人(450万人の目標には届かず・・・)

  • 沖縄のインフラ開発を促進(沖縄自動車道などの一部ができあがる)

と、それなりに効果があったと言われています。

なお、この海洋博の企画に関わったのは、当時、通商産業省(現・経済産業省)で官僚だった堺屋太一氏。

 

海洋博の海上施設「アクアポリス」

その海洋博の中で、海上の展示施設として「アクアポリス」というものが、当時あったらしいです。上の映像でも、海上に浮かぶ巨大施設が見えます。

 

wikiによれば、

プロデューサーは手塚治虫。

日本政府が出展した「半潜水型浮遊式海洋構造物」。

世界初の海上実験都市として、また未来の海上都市をイメージして建造された構造物で、海洋博のシンボルとしてメイン会場ともなった。

「海洋博 アクアポリス」で検索すれば、外観の写真がいろいろとでてきて、海底から油田やガスを掘削する巨大施設にも似たような感じのものです。

 

120億円の税金で作られた「アクアポリス」

海洋博の建築費予算304.61億円。そのうち「アクアポリス」は123億円で、全体建築費の約1/3〜1/2をかけて、作られたことになります。

そんな巨大施設が、美ら海水族館の目の前の海の上に立っていたのですが、今はなくなってしまいました。。。

一体、どこへ?

 

「アクアポリス」、1400万円でスクラップとして売却される

「沖縄国際海洋博覧会」のイベント跡地は、海洋博公園として再利用されたように、この「アクアポリス」も、イベント開催後も残りました。

しかし、レストランやレジャー施設として、再起を試みるも、うまく行かず、海の上にあるので、建材のサビ等が進み、メンテナンスも難しくなり、ついに、2000年に廃材として1400万円でされました。その後、買い手が、「アクアポリス」を上海に曳航し、分解されたらしいです。

約120億円で作られ、1400万円で売却。海洋博全体の収支はプラスで、建設費は回収できたのでしょうが、海洋博後のメンテンス費用等を考えると、長期で見た場合の収支は、どうだったのでしょうか?

「アクアポリス」に、日本の箱物行政の縮図を見たような気がしました。

 

 


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