「<WeCrashed ~スタートアップ狂騒曲~>第4話 4.4」から、ベンチャー経営に生かせる経営のヒントとは。
- < 第4話 4.4 >の概要
- 教訓: 離陸に必要な速度まで滑走できるかどうか
- 教訓: 早め早めの資金手当が必要
- 教訓: 成長のための支出は必要
- 教訓: 損益計算書よりもキャッシュフロー計算書を読めることが重要
- 教訓: 投資家へのプレゼンテーション
- 教訓: 沼にハマるソフトバンク
- <WeCrashed ~スタートアップ狂騒曲~>とは
- <WeCrashed ~スタートアップ狂騒曲~>に関する関連記事
< 第4話 4.4 >の概要
第4話は、事業が急成長するWeWork。一方で、支出も急拡大して収入を上回り、資金燃焼率、いわゆるバーンレートも大きくなってきます。社内からも、投資家からも、「この状況を改善しないと、会社が潰れる!」と警告するも、アダム・ニューマンは聞く耳を持たず、お金が足りなくなるなら、資金調達すればいいじゃないかと、違う方向に進みます。既存の投資家からは断られているので、その資金の出し手として、アダム・ニューマンが狙ったのは、ソフトバンクの孫正義社長。孫さんの予定を調べ、計画的にアプローチしていきますが。。。
ところで、
この「4.4」って、何の意味があるんでしょうね?
教訓: 離陸に必要な速度まで滑走できるかどうか
多くのベンチャーは、収入よりも支出の方が上回る期間を経ます。その期間を、どれだけ耐えられるかは、手持ちの資金量に依存します。その期間内に、利益を創出できる状態になるかどうかがポイントなります。
滑走路を離陸に向けて滑走している飛行機に似たような感じです。滑走路が長ければ長いほど、離陸する時間を稼げて、離陸に必要な速度に達成しやすくなります。逆に短ければ、猛烈なスタートダッシュをしないと、速度が足りずに離陸できないことも。
教訓: 早め早めの資金手当が必要
手持ち資金は、株式を発行して投資家からお金を集めたり、金融機関から融資してもらったりするなど、増やす方法はいくつかあり、ゼロになる前に手当をする必要があります。
いずれの方法も、申し込んでスグに資金調達ができるというわけではなく、結果が出るまで数ヶ月とか要することもあります。
また、資金を急いでほしいということが相手方に伝わると、こちらの足元を見られて、株価を下げた株式発行や、条件の悪い貸付なんかになってしまうことがあります。
京セラの創業者・稲盛和夫さんは、このことを相撲の勝負に例えられていて、土俵際ぎりぎりでなく、土俵の真ん中で勝負できることを目指すべきだと仰られています。
教訓: 成長のための支出は必要
手持ち資金が大切する余り、ケチンボになって、お金を使わなさすぎると、会社の成長ができないこともあります。
例えば、人材の採用や広告などは、適正な範囲内で増やしていくことで、売上を増やしていくことができることがあります。このお金を出し渋り、何もしないと、事業がスケールしにくいことがありえます。
あるいは、自社サービスを販売していく上で、システム開発等が必要で、売上を獲得する前に、その先行投資的な費用がかかってしまう。
また、現在では、上記のようなことを、代替できる手段がいろいろとありますので、うまくそういうのを活用することで、資金を有効利用になることも。
いろいろなケースがありえますが、次の成長につながるために、資金を使うことは大切です。
教訓: 損益計算書よりもキャッシュフロー計算書を読めることが重要
創業まもない時期で、事業規模がそれほど大きくない状態ならば、損益計算書で、お金の入と出を状況を見て、手持ち資金を把握することができます。
事業規模が大きくなってくると、たとえば、大きな設備投資なんかをすると、その費用を減価償却のような形で、1年毎の費用按分として計上することがあります。お金を一度に支出しているものの、損益計算書上の費用としては小さく現れ、お金の動きが把握しにくくなります。赤字額が小さく、安心していたら、手持ち資金が意外と少なかったということがありえます。
そういうときに、役立つのがキャッシュフロー計算書です。
キャッシュフロー計算書は、会社の営業活動、投資活動、財務活動の3つの分野から生じる収入・支出から、手持ち資金の量を把握することができる財務書類です。経営者としては読めるようになっておきたい書類です。
あるいは、昔からある資金繰り表というのも有効です手持ち資金が、あと何ヶ月分あるのか、常に把握しておくことが肝要です。
教訓: 投資家へのプレゼンテーション
この第4話で、とくに印象深かったのが、ソフトバンクの孫正義社長がWeWorkを見学するのに併せて、アダム・ニューマンが、社内や施設内で、人の配置や行動を指示して、WeWorkが理想的な働く場所に見えるようにしていくエピソード。
このエピソードを見ていて、スティーブ・ジョブズが、はじめてMacを発表するときに、その段階ではシステム的に不安定だったのを、エンジニアに強引に言って、最低限の動作ができるようして、乗り切ったという話を思い出してきました。そのあとのNeXTのコンピュータの発表のときも、同じことが起きて、同じような感じで乗り切ります。スティーブ・ジョブズのそばにいる広報担当者はずっと一緒の人で、またかという感じ。
アダム・ニューマンにしても、スティーブ・ジョブズにしても、商品のプレゼンテーションを大切にしていることがわかります。
パワーポイントなどの資料をキレイに作り込みがちですが、それよりも、商品やサービスを一目見たときの、印象の方が大切だと思います。お客様は、パワーポイント資料を見て、買うかどうかを決めるわけではないですからね。
教訓: 沼にハマるソフトバンク
事後の事実を知っている状態で、このソフトバンクとWeWorkの出会いのエピソードを見ていると、ここでの投資判断を間違わなければ、ソフトバンクはその後苦しまなかったのに、と思ってしまいます。
ソフトバンクの孫正義社長も、ビジネス経験も豊富で、いろいろなベンチャー企業への投資もされているので、見る目があると思うのですが、アダム・ニューマンの投資話に乗ってしまったのは、どういうことでしょうか?
孫さんが、はじめてアダム・ニューマンと会ったときに、「たんなるコワーキングオフィスに価値があるのか?」と聞き、この段階では、まともな判断をしていたことがわかります。それが最終的に、兆円単位での投資案件になってしまいます。
孫さんは、この原因を、アダム・ニューマンの人柄・スピーチ力に惹かれてしまい、夢を見てしまったというようなことを言っています。
それだけ、人を魅了させる力をアダム・ニューマンにあったということですが、それにしてもスゴイ。
<WeCrashed ~スタートアップ狂騒曲~>とは
WeCrashedは、実話をベースにしたアメリカのオンラインドラマ。シリーズの主演はジャレッド・レトとアン・ハサウェイ。 2022年3月18日にAppleTV+で初公開されました。
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