倒産した航空会社が再起を図るという話で、
社名は架空の航空会社になっていますが、
日本航空・JALを題材にした小説。
話の途中までは、
稲盛和夫先生のフィロソフィー・アメーバー経営を、
社内への啓蒙普及を進めることで、
企業再建を行う様子が描かれる。
社内外で反対勢力がでてきたりなど、
それなりに歴史のある企業での
風土変革の大変さが伝わってくる。
途中から3.11になり、
大きな被害を受けた仙台空港での
被災直後の出来事にフォーカスした話に変わる。
仙台空港には、
他の航空会社スタッフもいるが、
空港で大震災に出くわした、
お客や、空港利用者の親身ある対応は、
風土改革の効果らしい。
そして、そこで小説は終わってしまう。
3.11からの復興と
会社の再建を重ねた話にしたいようだけど、
薄っぺらさを感じてしまった。
史実をベースにしているわりには、
ニュース等の報道内容等を、
つなぎ合わせたような感じで、
あまり踏み込んだ内容でもなく、
重みの物足りなさが原因かもしれない。
企業の上層部よりも、
企業内で働く現場社員にフォーカスされていて、
おそらく、それにはフィクション要素が大いに入っているはずで、
その部分は、生き生きとしたストーリーがあった。
「経済小説」というよりも、「人情小説」に近いかな。