あの社長が役員報酬全額を3.11に寄付する理由を、税的見地から検証してみました。
あの3.11から10年。
いろいろなメディア等で、犠牲者の追悼や3.11をテーマにした内容が多く登場しました。
3.11発生した年には、いろいろな企業・団体が、被災された東北等への支援を名乗り出ていましたが、10年も経過すると、支援を止められているところもいろいろとあります。
10年ですからね。
その年に生まれた人が、今はもう小学生になるくらいの時間がながれているわけですから、形骸化というか、温度差が出てきてしまうのもしょうがないかなかと思います。
ふと、3.11のときに、
相当額の寄付をして、以後の自分の役員報酬を全額を、3.11関連に寄付すると明言した、某社の経営者を思い出しました。
純粋に復興支援/被災者支援をしたいという思いが強かったと思いますが、
実は、節税要素もあったのではないかと、
確定申告の書類を準備しながら、ふと思い、検証してみることにしました。
2億円の役員報酬
さきほどの経営者は、上場会社ですので、
有価証券報告書に役員報酬額が公開されています。
それによる、2020年3月度は約200百万円の役員報酬でした。
2億円の寄付で約4,000万円の節税効果
何も考えずに、
e-taxのWebにある所得申告作成ページに入力してみます。
納付する税金額は 52,181,600円
寄付しない場合
納付する税金額は 90,232,400円
なお、この試算には、社会保険等の控除を含めていませんので、
実際とはかなり違うと思います。
上の試算をみると、
2億円の役員報酬で、約1億円の納税ですと、日本の累進課税の高さを実感します。
2億円全額寄付をしても、
それでも5,000万円の税金を納めないといけないんですね。
どうせ税金で使われるのであれば、
その分、自分の意志を託した寄付に使いたいという気持ちがわかるような気がします。
190億円の配当金が!
役員報酬全額を寄付して、生活できるのか?という思いもあります。
この経営者の会社は、配当金を出しています。
そして、この経営者は、この会社の大株主でもあり、持ち株から計算すると、
直近では、約190億円の配当金を受け取っていたことになります。
すごい金額ですね。
なお、配当金の税金は、約20%を源泉徴収されれば終わりですので、
役員報酬で会社の利益を還元するよりも、税効果の高いと言われています。
3.11関連で寄付するのは、
配当金も含めた報酬全額だったか、役員報酬のみだったかは定かではありませんが、
役員報酬全額を寄付しても、この配当金があれば、余裕で大丈夫ですね。
(他にも経営されている会社や、資産管理会社もあるようですから、その点は大丈夫なんでしょう。)