新任取締役の経営手帳

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国の委託事業の経験から、「持続化給付金」事業を見ると。。。

問題視されている「持続化給付金」事業について。

 

国の委託事業の経験から、「持続化給付金」事業を見ると。。。

 

 

組織運営で必要な「お金」

株式会社はもちろんのこと、社団法人、NPO法人などの公益性のある団体であれ、組織の持続的な運営を行うためには、金銭を得る必要があります。

「どのようにして金銭を得るのか」という手段は、組織により様々で、法律を逸脱しない限りは、基本的に自由に決められます。

事業会社の多くは、その金銭を得る手段というのが「事業活動」で、簡単に言えば、商品を販売したりして得ています。公益団体の場合は、そのような事業による金銭獲得よりも、寄附等の財務支援による金銭獲得が一般的です。

たとえば、日本国民一人一人から1円を頂戴するような仕組みでもいいわけです。

ただし、その場合、誰もが「1円を払ってもよい」と思うような商品、サービスや制度でないと、成立しません。たとえば、電気、ガスや水道など、公共サービスに近ければ、そういうことも可能でしょう。

多くの組織においては、費用分だけでなく、ある程度の利潤を乗せて、商品やサービスの価格設定をします。

 

  

国の委託事業

国では、委託事業というものがあります。

簡単に言えば、本来は国が主体となって行う仕事を、民間企業等が代わりに行うものです。たとえば、「●●業界に関する調査レポート作成」という仕事を、なんとか総研とかが受託していたりしています。

以前、私は、そういう委託事業という形で、省庁のお仕事をさせていただいたことがあります。そのときは、ある地域での特産品をつかって、その地域を活性化するようなテーマでした。

 

その時に経験した国の委託事業の思い出を振り返ると、今、問題視されている「持続化給付金」事業は、ふつうのコトだなぁと感じます。

 

 

国の委託事業の思い出:山のような書類

「委託事業」で、今でも思い出すのは、「山のような書類」。

申請時の計画書もそうですし、途中報告や終わったあとの報告書も、ものすごい量の書類を求められます。

報告書の厚みがあるほど中味があるものというような、まるで学生時代のレポートの価値観に似たものを感じさせられました。

 

 

国の委託事業の思い出:「会合を重ねれば、結果が出る」という発想

私が行った事業では、有識者に参加いただく会合を何回か行うことがありました。

その会合で、事業のテーマに対する解決方法を検討するのですが、4-5回ぐらい会合を開催し、そこで解決方法を編み出し実践してみるもの、というもの。

トライしないよりは、トライしたほうが良いですし、通常は費用が発生してしまうところを、国の支援で行っていただけるので、それで効果を確認できれば、それはそれでありがたいことなのですが。。。

何かの作業手順のように、手順を踏めば、かならず成果が出る、という発想が根底にあるように感じ、世の中は思惑通りに物事が進むことはない、ということが欠落しているようにも感じました。

 

 

国の委託事業の思い出: 出来レース

委託事業の募集の公開して、応募締切が1週間ぐらいしかないような場合、だいたい、受託先が内諾されていて、それに合わせたスペックの募集要項になっていることが多い。つまり、すでに結果がわかっていて、形式上公募した形にする「出来レース」というものもあります。

 

 

国の委託事業の思い出:儲からない

そして、もう一つ思い出すのは「儲からない」。

委託事業について、国から、その事業に必要な費用をいただくことが出来ます。

どの程度までのものを費用として認められるのかは、その委託事業の内容にもよりますが、「実費相応」のものがほとんどです。冒頭に述べた、通常あれば「利潤」的なものは、委託事業の採択社自身は、それを費用に乗せることが出来ません。

通常の事業活動ならば、仕入れ費に管理料等をのせたものを請求し、利益を生じさせることができます。そのようなことが、基本的に、国の場合はできず、実費である仕入れ費のみです。

たとえば、人件費も、科学的な研究活動のような事業であれば、研究員の人件費は支給されることもありますが、そうでない事務系のなどの場合は、人件費はほとんど出なかった(出ても低額)ように記憶しています。

上で「山のような書類」とありましたが、あれには理由があり、「一枚につき●円の謝金」というのを設定できたりします。そのため、書類を多く作れば、その分、事業経費として立て替えられ、人件費の費用補填することができます。

 

 

直接受託するより、経由受託した方が利益をとれる

前述のように、委託事業の採択社自身は、利益相当を国から受け取ることはできませんが、ここに、もう一社存在する場合、仮に、国から受託したA社と、その業務の一部を再委託されたB社とすると、利益を生じさせることが可能になります。

B社は、通常の業務活動のように、費用に利益を乗せた金額をA社に請求でき、A社にとっては実費ですが、B社にとってみれば、利益のできる取引形態が可能となります。

そして、A社は、実費となっているB社の費用を、国から支払いで精算し、A社とB社でリベート的な取り決めをしておけば、A社も国からの委託事業で利益を得ることができるようになるのです。

 

 

2つの組織があれば、いろいろな取引が可能

今回の持続化給付金事業とうな国の委託事業に限らず、通常の商取引においても、2つ以上法人があれば、いろいろなことが可能となります。

決算月の異なる法人がある場合、一方の損を、相手方に押し付けて、それを無限に繰り返すことで、その損を永久に消滅させることができます。いわゆる「飛ばし」です。逆に、利益を飛ばして、課税を逃れるということも出来ます。

あるいは、商品を売ったことにして、商品は動かず、伝票上の取引を繰り返し、売上を増やす「循環取引」というのもあります。

さすがに、株式公開している会社となると、そういう取引は不正とみなされますし、監査法人のチェックも厳しく入ります。しかし、株式公開していない私企業ですと、いろいろなことができてしまいます。

 

 

「持続化給付金」事業の巧妙

今回の持続化給付金事業で、受託者である社団法人と再委託先でのD社のお金の流れで、いろいろと報道されています。

そのお金の流れの理由というのは、上のような事情によるものというのは、そういう委託事業を行ったことがある人ならば、すぐにピンと来ると思います。

また、問題の社団法人が、自治体との取引での統一資格「C/D等級」にも関わらず、そよりも高い等級の他の応募社ではなく、この社団法人が採択されたのは、政治的なものもあるのでしょう。。。。

 

 


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