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東証の企業価値向上表彰を受賞するには?

 

東証の企業価値向上表彰を受賞するには?

 

 

2-3ヶ月前に、東証から企業価値向上表彰の2次選抜のアンケートがきて、回答。そして、その結果が先日送られてきました。

結果は、

今回は、貴社を最終候補とさせていただくことが叶いませんでした。

残念。。。。

今回、最終候補に選抜された企業の一覧が出ていて、それらの顔ぶれをみますと、うーん、ちょっと叶いそうにありません。

 

あらためて、この「企業価値向上表彰」について調べてみました。

 

 

「企業価値向上表彰」とは

東京証券取引所で、企業価値の向上を行う企業を評する「企業価値向上表彰」という表彰制度があります。

具体的には、

2012年度創設

資本コストをはじめとする投資者の視点を強く意識した経営を実践し、高い企業価値の向上を実現している会社を表彰

表彰を通じ、ベストプラクティスを提示することで、上場会社には企業価値向上経営の必要性とその参考事例を、投資家には東証市場における株主価値の創造を目指す企業の存在を発信

という目的が掲げられています。

 

 

資本効率が悪い日本企業

一般的に、日本の企業は、世界の企業と比べると、ROE等の資本利益率が低いと言われています。これは、中小の企業だけでなく、上場企業でも低いところはあります。この利益率の低さは、長期的に見ると、企業価値の伸びに関連し、そして株価にも影響していきます。

この表彰は、選定委員の座長には、「企業のROEは8%以上が必要だ」という旨の伊藤レポートで有名な伊藤邦雄教授がおられ、そんな視点に、投資家や企業を注目してほしいという点で始まったものだと思います。

 

 

「企業価値向上表彰」の選定プロセス

この企業価値向上表彰の選定は、以下のような流れで行われます。

今回、答えたのが「2次選抜」でのアンケートでした。よく見ると、3次選抜以降、けっこう大変な感じです。

  1. 1次選抜:東証上場(約3600社)の全企業から、ROEが資本コストを上回る企業をスクリーニング(600社程度選抜)

  2. 2次選抜:1の企業に、資本コスト等の意識具合を確認するアンケートを実施(50社程度選抜)

  3. 3次選抜:2の企業に、より詳細なアンケートを実施(3社程度選抜)

  4. 4次選抜:3の企業に、トップインタビュー(大賞・優秀賞を決定)

 

 

「資本コスト」を把握しているかどうか

企業価値向上表彰の選定ポイントを見ると、当該企業が自社の「資本コスト」を意識しているかどうか、というのが重視しているように思います。

資本コストとは、

資本コストとは、企業が資本を調達・維持するために必要なコストのこと。通常はパーセンテージで表される。自己資本に関しては株式に対する配当金やキャピタル・ゲイン、他人資本に関しては借入金に対する支払利息が代表的である。 資本コストは、企業が最低限あげなければならない資本利益率、すなわち投資家による最低要求利益率である。

借入金には、借入利息の発生で、そのコストが伴うことが理解しやすいですが、自己資本(株式)にもコストがかかるのです。株式関係のコストといえば、配当金はわかりやすいですが、株価上昇というのも、投資家からの暗黙のプレッシャーとしてコストになっています。

たとえば、新規事業や投資案件、M&Aなどがあるときに、この「資本コスト」を上回る利益率を取れるならば実行するというような感じで、一つの判断材料として活用できます。

 

 

「資本コスト」の算出方法

資本コストを計算するには、WACC(加重平均資本コスト)という、株式コストと負債コストを併せた計算方法があります。この計算方法は、自社株価の市場感応度βを計算したりして、少し複雑です。(株式関係の専用端末やサイトで、この値を確認することができます。)

実は、簡便的な方法があり、「PER」という、株価と一株あたり利益の倍率がありますので、その逆数を計算すれば、資本コストになります。

 

 

2018年度の大賞企業「ダイキン工業株式会社」の場合

2018年度の企業価値向上表彰では、大賞に「ダイキン工業株式会社」が選ばれました。

そのダイキン工業の数値を見てみますと、

 

  • ROE:13.94%(2019年3月期)
  • 資本コスト:5.0%
    PER=19.96(2019年8月29日時点)
    資本コスト= 1/19.96=0.050

 

数値で見ると、ROEは資本コストを上回っています。

株価を見ても、長期的に伸びていることがわかります。

 

2018年度の大賞企業「ダイキン工業株式会社」の場合

 

意外だったのは、同社の決算説明会資料を見ると、とくに資本コスト等には触れていませんでした。企業内では意識しているが、社外には公開していないということなのでしょうか。

てっきり、資本コストについて決算説明会等で公表し、アナリスト等の出席者との議論テーマの一つにしないと、表彰できないものと思っていたのですが。。。

 

 

東証の企業価値向上表彰を受賞するには?

受賞するには、

  • ROE > 資本コスト
  • 資本コストへの経営陣の意識
  • 資本コストに絡む要素を対外的に公表?
  • 継続的な成長の実現(株価?)

という点を満たしておくことでしょうか。

 

 



企業家の世界は物理的な世界ではない。むしろ、価値の世界である
by Peter Ferdinand Drucker



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