日本人のシニアの消費行動を読み解く。
先日、とあるイベントに参加していたら、いろいろなプレゼンターの方がお話をされました。その中で、大前研一さんが講演された内容が、印象深かったです。
大前研一さんとは
大前研一さんとは、ご存知の方も多いと思いますが、改めて。
wikiによれば、以下の通りです。
大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本の経営コンサルタント、起業家。マサチューセッツ工科大学博士。マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。
現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長、韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授、高麗大学名誉客員教授、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長 等を務める。
私は、学生時代に大前さんの書籍などを読んだことがあり、理系出身で、日立製作所で原発事業に関わり、その後、マッキンゼーに移り、経営コンサルティングの業界で活躍され、重鎮としていろいろと提言されている人という認識しています。
お年は70歳を超えられているわけですが、そのイベントで、久しぶりにお顔を拝見したらまだまだ元気そうで、バイクを乗り回しているというお話もお聞きしました。
「やけぱっち消費」とは
今、高齢の日本人が亡くなる時、平均3000万円ほどの資産を残すのだそうです。
一方、イタリア人などは、資産ゼロにしてから、亡くすことが美徳とされています。
日本人で多いのは、退職などをされ、死期がだんだん近づくと、死ぬまでに使いきれないほどお金が余っていることに気づき、若いころ、体力があるときに、ヨーロッパ旅行など、やりたいことをやっておけばよかった、と後悔をするのだそうです。
それで、最近、高級旅客列車の旅行ツアーが、瞬時で売れてしまうのは、そのためとのこと。海外の遠方には行けないが、日本国内ならば大丈夫、という心情が働いているのだそうです。かなり高額で割高なツアーでも売れてしまう、という。
大前研一さんは、これを「やけっぱち消費」という消費行動と名付けられています。
そういうお話を聞いて、「なるほど」と思いました。
イベントの講演で紹介された内容が、下の本で「企業は「やけっぱち消費」の金を有効活用せよ 」という点で論じられています。
高齢者世帯の貯蓄額は平均2千万円以上
総務省の統計によれば、
高齢者世帯の貯蓄額は平均2千万円以上
だそうです。
しかし、これは単純平均なので、上位の大金待ちの方の影響を受けたものです。
統計上の中央値では、
高齢者世帯の貯蓄額は平均1,567万円
となります。
統計局ホームページ/家計調査報告(貯蓄・負債編)−平成28年(2016年)平均結果速報−(二人以上の世帯)
高齢者世帯の貯蓄額のほとんどが銀行口座にある
上記の高齢者の貯蓄は、以下のような形で貯められているとの、総務省の統計での結果になっています。
- 定期性預貯金: 46.5%
- 通貨性預貯金: 19.5%
- 生命保険など: 17.3%
- 有価証券: 17.1%
- 金融機関以外: 0.4%
上位二つの 「定期性預貯金: 46.5%」「通貨性預貯金: 19.5%」を足すと、約7割が銀行口座にあります。
また、この貯蓄額には、持ち家など不動産の評価額は入っていないので、高齢者の資産としては、これ以上保有されていることになります。
生きたお金の使い方
銀行は、ご存知のように「低金利時代」。
普通預金は「0.001%」、定期預金でさえ「0.100%」(金利の良いネット銀行)で、「%」をつけてもまだ小数点という低さです
2000万円を普通預金の銀行口座に預けておいても、税引き前の利息は年間200円です。
お金の使い道に関して、「生き金」と「死に金」と呼ぶことがあり、銀行口座に預けるのは後者に近いかもしれません。
お金を、消費に回したり、別の分野に回した方が、社会にとっても、ご本人にとってもよい影響があるような「生き金」になるのでないか、と思いました。
今までの常識を疑い、新たな答えを探し出さねばならない。
by 大前 研一