起業志願者が、必死に起業資金を稼いでいる姿を見て、思ったこと。
「起業する」ということとは
「起業」とは、読んで字の如く、「業」を「起こす」ことです。
社会に提供するサービス・商品などを、自らが作り、提供し、その対価としてお金をいただき、それが収益となる、ということになります。
自ら起業するとなると、今までの仕事のやり方とかは、違ったことになります。
今まで、会社員であった人ならば、その会社の事業に雇われていました。それが、「起業」すると、自らが雇用主/事業主となり、必要に応じて、社員やスタッフを雇う側になります。
そして、事業主には、労災はないし、個人情報保護方針の責任者や、その会社で裁判となったときの当事者にもなるなど、責任の度合いが、会社員の場合と違い、かなり重くなります。
それだけ、社会的責任があるということでもあります。
そして、会社の成長とともに、業績などが拡大していくと、この責任はさらに大きくなります。自らの経験で言えば、その責任の増大は、けっこうプレッシャーにもなりえます。例えていうならば、一輪車を漕いでいて、その車輪が、どんどん大きくなる感じ。
ビジネスには「お金」が必要
また、事業を運営する上では、まずは「お金」が必要となります。「お金は経済の潤滑油」とはよく言ったもので、これがなければ、何もできません。
0円の費用で100万円の売上を作るというのは難しく、 それなりの費用がかけて、売上というのはできてきます。費用0円で売上を産むことができたら、それは、まるで「打ち出の小槌」。
そういうビジネスモデルの実現は、決して不可能ではないが、かなり稀有なケースだと思います。
ある起業志願者の起業準備
このあいだ、「起業したい」という人と出会い、いろいろと話をしました。
「起業したい」というと、ひと昔前、大学生のインターンなどが会社に来ていた時は、血気盛んな学生や若い人とよく出会っていました。彼らの事業計画は、夢物語が多かったものの、その熱意や意気込みがあれば、起業後の数々の困難も乗り越えて、なんとかやっていけると感じさせられたものでした。
先日お会いした起業したいという人は、そういうのと比べると、かなりおとなしい人。すでに社会人で、20代後半。「なんでもいいから起業したい」というわけではなく、「これがしたい」という思いの実現のために起業したいという。
起業資金集めに邁進中
しかし、起業したいものの、貯金がゼロなので、今は、起業資金の確保のため、会社員の傍ら、派遣やWebのアフィリエイトなどで、資金集めを頑張っているという。
起業前の資金集めというのは、大切な準備活動。
居食屋「ワタミ」の創業者である渡邉美樹さんも、運送会社で必死に働き、起業資金300万円を貯めた、という有名な話があります。
起業するには、必要となるのは、まず「お金」。
会社の定款を作り、それを公証役場で認証する費用、法務局への登記費用、オフィスを借りる費用、事務機器や会社封筒などを用意したりなど、設立前後にいろいろとお金が必要となります。
法律が変わり、今は、一円起業というのが可能になっています。たまに、M&A絡みで、法人という箱が必要のために、資本金1円で設立というのはあります。しかし、それ以外で、実際に1円で会社設立すると、すぐに売上収益が入ってくるなどの状況でない限り、結構大変です。
ただ、昔と違い、初期にそれほど多額の資金をかけずに、起業し、事業を始めることが可能となってきています。コワーキングスペースや、事務処理をアウトソースしたりなど、いろいろな支援サービスがでています。
クラウドファンディングの仕組みも出てきて、社会的に共有しやすい「思い」であれば、その実現に向けて、第三者の協力を得やすい仕組みもでてきています。
とはいえ、それなりの資金は用意しておいた方がいいに越したことはありません。
Aさんは、そういうわけで、現在資金集めに邁進しています。
事業準備の時間がとれない。。。
しかし、「これがしたい」という思いの具現化、いゆる事業計画というのが、ちょっとまだはっきりしていない。
副業でお金を稼ぐというのも、なかなか大変なことで、中途半端なことではお金を稼ぐことは難しい。おそらく、その副業に対して、時間や能力もかなり投入して、がんばっていることと思う。
一方で、起業に向けた、計画づくりやビジネスアイデア作りというのも、大切な工程。早めに経験値を掴んでしまうこと。経験値を積むことで、そのビジネスの進め方がわかってくることもあります。
とりあえず、思いの具現化に向けて、小規模なパイロットモデルでもいいから、少しでも動いてしまったらと思うのですが、現在は資金集めに忙しく、それどころではないらしい。
本末転倒にならないことを祈るばかりです。
売り上げはゼロ、自己資金もありませんでは、
銀行は金は貸してくれないだろう。
しかし、自分で集めたとなれば、こいつは真剣にやろうとしている
と判断してもらえるのだ。
by 松田 公太