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2018年4月から「フェア・ディスクロージャー(FD)ルール」が施行。上場企業が対応すべきこととは?

2018年4月から「フェア・ディスクロージャー・ルール」が適用され、上場企業のIR活動にも影響があります。

 

2018年4月から「フェア・ディスクロージャー(FD)ルール」が施行。上場企業が対応すべきこととは?

 

 

2017年5月24日に「金融商品取引法の一部を改正する法律(平成29年法律第37号)」が公布されました。この法律は、2018年4月1日から施行されます。

 

この金融商品取引法の改正内容には、株式を上場している企業に影響がある部分があります。それが、「フェア・ディスクロージャー(FD)ルール」です。

 

 

「フェア・ディスクロージャー・ルール」とは

この「フェア・ディスクロージャー・ルール」について、金融庁が端的にまとめた資料があります。

それによりますと、

「フェア・ディスクロージャー・ルール 」とは

企業が、未公表の決算情報などの重要な情報を証券アナリストなどに提供した場合、速やか に他の投資家にも公平に情報提供することを求めるもの

 

導入の背景

  • 近年、上場企業が証券会社のアナリストに未公表の業績に関する情報を提供し、当該証券会社が当該情報を顧客に提供して株式の売買の勧誘を行っていた事例が複数発覚
  • 欧米やアジアの主要市場では、フェア・ディスクロージャー・ルールが既に導入済み
  • ⇒ 我が国でもフェア・ディスクロージャー・ルールの導入が必要
  • 全ての投資家が安心して取引できる市場環境を整備
  • 「早耳情報」に基づく短期的な売買ではなく、公平に開示された情報に基づく中長期的な 視点に立った投資を促す

 

フェア・ディスクロージャー・ ルールの概要

  • 上場会社等が公表されていない重要な情報をその業務に関して証券会社、投資家等に伝達する場合、
    ・意図的な伝達の場合は、同時に
    ・意図的でない伝達の場合は、速やかに、
    当該情報をホームページ等で公表。
  • 情報受領者が上場会社等に対して守秘義務及び投資判断に利用しない義務を負う場合、 当該情報の公表は不要。

 

出所)「金融商品取引法の一部を改正する法律」 (平成29年法律第37号)に係る説明資料 (2017年5月)
http://www.fsa.go.jp/common/diet/193/02/setsumei.pdf

 

未公表の重要情報を知り得ての株式売買取引は、いわゆる「インサイダーと取引」として禁止されています。

しかし、そういう違法取引が改善されないので、制度をもう少し発展させて、「インサイダー情報」を社外の人に伝えてしまった、速やかに公表してください、というように変えたように思います。

 

 

「フェア・ディスクロージャー・ルール」に対する金融庁の見解が2018年2月に公表

2018年2月6日に、この法改正にともなうコメントや質問に対した、金融庁の見解書が発表されました。 

 

金融庁「金融商品取引法第27条の 36 の規定に関する留意事項 (フェア・ディスクロージャー・ルールガイドライン) 」
http://www.fsa.go.jp/news/29/syouken/20171024_13.pdf

 

この資料は、具体的にどうすべきななどがまとまっているので、企業のIR担当者などは、ご覧いただくとよいと思います。 

 

 

2018年4月から「フェア・ディスクロージャー(FD)ルール」概要

今回の「フェア・ディスクロージャー(FD)ルール」の概要を、端的にまとめると、以下のようになります。

 

FDルールの要約:「重要情報」とは

「重要情報」:法第27条の36第1項に 規定する「当該上場会社等の運営、業務又は財産に関する公表されていない重要 な情報であって、投資者の投資判断に重要な影響を及ぼすもの」

 

 

FDルールの要約:「重要情報」に該当しないもの

以下は「重要情報」にはならない。

  • 中長期的な企業戦略・計画等に関する経営者との議論の中で交わされる情報

  • 既に公表した情報の詳細な内訳や補足説明、公表済の業績予想の前提となった経済の動向の見込み

  • 他の情報と組み合わさることによって投資判断に影響を及ぼし得るものの、その情報のみでは、直ちに投資判断に影響を及ぼすとはいえない情報(いわゆ る「モザイク情報」)

 

FDルールの要約:伝達と同時に公表する

会社が、未公表の重要情報を証券アナリストなどの金融商品取引業者に伝達する場合には、その伝達と同時に、その重要情報を「公表」しなければならない。

 

 

FDルールの要約:「公表」の手段

「公表」の手段には以下の方法がある

  • 臨時報告書などの提出、公衆縦覧(EDINET による法定開示)
  • 所定の報道機関2以上に対して公開
  • 金融商品取引所に通知し、所定の電磁的方法により公衆縦覧(TDNet による適時開示)
  • 上場会社等がそのウェブサイトに重要情報を掲載(少なくとも1年以上)

 

 

FDルールで上場会社が対応すべきこと:情報開示状況の再確認

このFDルールでは、重要情報の公表のタイミングがポイントと言えます。

自分が関わっている企業で現状を確認したところ、「決算短信」「プレスリリース」などは速やかに公表しているので、とくに問題はありませんでした。

アナリストなどを対象にした決算説明会での配布資料が、このFDルールに抵触しそうでした。

 

 

「決算説明会資料」の取り扱い:開催と同時に公表へ

証券アナリストなどを対象にした決算説明会を定期的に開催をしており、そこでの資料や説明会模様の動画は会社のIRサイトに掲載しています。

しかし、会社のIRサイトに掲載するまでに数日を要しており、説明会に出席された人とそうでない人で、情報の差が生じていました。FDルールでいうところの「伝達と同時に」にはなっていませんでした。

2018年4月からは、決算説明会での配布資料も、説明会の開催と同時に「公表」するように対応を検討しています。

 

最近、決算説明会資料をTD-netで配信される企業が増えているように感じていましたが、おそらく、このFDルールの一環だと思います。

 

 



インサイダー取引にはくれぐれも注意が必要です
by 小宮 一慶

 



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