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「上場会社にあるまじき不手際」の株主総会

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 上場会社にあるまじき不手際が発生してしまいました。

 

「上場会社にあるまじき不手際」の株主総会

 

 

先日、以下のような、気になる記事がありました。

toyokeizai.net

 

 

監査報告書を受領せずに、招集通知に監査報告書をつけて株主総会を招集 

簡単に概要をまとめると、コシダカホールディングスが2017年11月に開催した株主総会の招集の際、監査法人や監査等委員会(コシダカホールディングスは、監査役会ではなく、監査等委員会設置会社)の監査報告書が提出されていないのに、その謄本をつけて、招集通知を発送しまったというものです。

 

記事の中では、この状態を

「上場会社にあるまじき不手際」

と評しています。

 

 

業績拡大中のコシダカホールディングス

株式会社コシダカホールディングスは、カラオケボックス「カラオケ本舗 まねきねこ」を運営する株式会社コシダカ、フィットネスチェーン「カーブス」を運営する株式会社カーブスジャパンなどを傘下に持つ持株会社である。本社機能は東京都港区に置くが、本店は群馬県前橋市。

このコシダカホールディングスは、カラオケが本業で、最近では女性専用のフィットネスの「カーブス」(紫色のお店)を街でよく見かけます。

記事でも、

2007年6月の上場以来、目下のところ10期連続で増収営業増益を継続中。上場当時と比較すると、営業利益は9倍、時価総額はおよそ15倍になっている、急成長企業である。

というように、事業が急速に伸びている会社と紹介されています。

 

そういう会社で、今回、監査法人や監査等委員会の監査報告書を受領せずに、招集通知に監査報告書をつけて株主総会を招集してしまうということになりました。

 

 

コシダカホールディングの2017年8月期定時株主総会の招集手続きの経緯と原因

この顛末をまとめると、

 

コシダカホールディングの2017年8月期定時株主総会の招集手続き

11月7日 第48回定時株主総会招集通知を発送
11月9日 招集通知から「会計監査人の監査報告謄本 」「監査等委員会の監査報告謄本 」を削除する旨公表 *11月7日までに受領していなかった
11月17日 監査報告書を受領
11月17日 訂正版の第48回定時株主総会招集通知を公表
11月24日 株主総会を開催

 

本来は、もっと早く、監査報告書が出てくる予定だったのでしょうが、会計監査人である監査法人より、以下の指摘を受けていました。

  • 多岐にわたる勘定科目の残高の誤り
  • 関係会社株式評価プロセスの運用不備
  • カラオケ事業におけるカード未収売掛金の適切な消込処理の不備
  • 会計監査人及び内部監査での指摘事項に対する適切な対応が取られなかったこと

指摘内容をみると、規模が小さい未上場企業ならばありえますが、上場している会社では、珍しいミスとも言えます。

 

この原因について、会社側はこう発表しています。

      【コシダカホールディングの2017年8月期定時株主総会の招集手続き不備の原因】

 

  • 事業が拡大し、経理事務作業が増えていたものの、経理スタッフが補充できなかった
  • 期末に経理担当者が退職してしまった
  • 内部監査人が退職してしまった

経理部門の人手が足りないのに加えて、経理担当者も辞めてしまったという事態です。さらに、内部監査室の人間も辞めてしまいました。 

 

 

事態はさらに進展し、会計監査人が不在に

今回のコシダカホールディングの株主総会招集手続き不手際の事案は、さらに進展し、会計監査人が辞めるという状態になってしまいました。

 

11月13日 公認予定の会計監査人(仰星監査法人)から辞退
11月24日 今までの会計監査人(新日本有限責任監査法人)が、11月24日の総会をもって辞任
12月1日 一時会計監査人(ひびき監査法人 )の選任(監査等委員会で決議)

 

もともと、2017年11月24日開催予定の株主総会で、新日本有限責任監査法人から仰星監査法人に会計監査人を変更する決議を行う予定でした。

しかし、その引き受け予定の仰星監査法人が辞退を申し出てきて、さらに、従来の会計監査人である新日本有限責任監査法人も、今期限りで辞退すると申し出ます。

 

こんなふうに、管理部門の人間が辞め、監査法人から拒否されるのは、企業内に何か問題があるのではないかと疑いたくなってしまうのですが、一体どうなのでしょう。いろいろと木になるところですが、ここではこの点は深く追求しません。

 

 

監査役(監査等委員会)が一時会計監査人を設置

結果的に、コシダカホールディングでは、2017年11月24日開催の株主総会が終わると、会計監査人が不在の状態となりました。

しかし、上場会社ですので、四半期ごとの決算発表などもあり、会計監査人が不在というわけにもいかず、一時会計監査人を設置しました。

一時会計監査人の設置は、株主総会を開催せずとも、監査役(この場合は、監査等委員会)により、選任することができます。

会社法第346条に明記されています。

(役員等に欠員を生じた場合の措置)
会社法 第346条
4 会計監査人が欠けた場合又は定款で定めた会計監査人の員数が欠けた場合において、遅滞なく会計監査人が選任されないときは、監査役は、一時会計監査人の職務を行うべき者を選任しなければならない。

 

 

事業拡大の影響で、管理負担が増加? 

ここ数年のコシダカホールディングの沿革は、以下のとおりとなっています。

2007年6月 - ジャスダック上場。

2008年10月 - ベンチャー・リンクからカーブスジャパンを買収し子会社化。

2010年4月 - カラオケ本舗まねきねこ300店舗目(足利朝倉店)を開店。

2010年7月 - 株式会社韓国コシダカを設立。

2010年9月 - 持株会社移行により、株式会社コシダカホールディングスに社名変更。株式会社スポルトを子会社化。

2011年1月 - 株式会社シュクランを子会社化。

2011年6月 - カーブス1,000店舗達成。

2011年6月 - カラオケ本舗まねきねこの海外1号店江南(カンナム)店(韓国ソウル)を開店。

2011年9月 - 旧株式会社スポルトを、新株式会社スポルトと株式会社コシダカファシリティーズへ会社分割。

2011年11月 - 「ひとりカラオケ専門店 ワンカラ」1号店として神田駅前店を開店。

2012年1月 - 株式会社コシダカIPマネジメントを子会社化。

2012年10月 - スポルトをヴィーナス・ファンドに売却。子会社から外れる
2014年7月 - 本社機能を東京都港区浜松町に移転。

2014年12月 - 株式会社コシダカ、日本初のハラル対応カラオケ店舗「カラオケ本舗まねきねこ四谷三丁目店」を開店。

2015年2月 - 共通ポイントサービスである『Ponta』を「カラオケ本舗まねきねこ」首都圏の一部店舗にて導入。

2015年4月 - 相鉄グループの株式会社ムーンを子会社化。

2015年5月 - 『Ponta』導入店舗を「カラオケ本舗まねきねこ」国内全店舗に拡大。

2016年3月 - 株式会社コシダカファシリティーズが、株式会社コシダカIPマネジメントを吸収合併して「株式会社コシダカプロダクツ」に社名変更。
2016年9月 - 株式会社コシダカが、株式会社ムーンを吸収合併。

 

ここ数年のコシダカホールディングは、事業の拡大だけでなく、会社を買ったり、合併したり、海外に子会社を作ったりと、激しく変化しています。

管理部門に何人のスタッフがいらっしゃるのかわかりませんが、これだけの動きがあると、管理部門がしっかりした体制でないと、なかなか厳しいとも言えます。経理担当者が辞めてしまうのも、わかるような気がします。

 

 

変革時の企業は要注意

今回のミスの原因は、会社の担当者が辞めてしまったということ以外に、事業の拡大で、監査するポイントや監査に要する時間が増えてきたこともあるように思います。

このようなミスは、変革時に起こる可能性が高まります。

たとえば、

  • 商法から会社法に変わる
  • 社員5人ぐらいのベンチャーが社員50人ぐらいに増える
  • 監査役設置会社から監査等委員会設置会社に変わる
  • 事業会社から持株会社に変わる

 などです。

以前と勝手が違い、経営管理の方法が変わってきます。

変革時に発生する管理方法の変更や事務量の増加などは、人間の成長期の成長痛のようなものとも言え、うまく乗り越えれば、その後の成長もしやすくなります。

しかし、うまく適合できないと、負荷を引きずったままとなります。

 

  

日本の組織は従来なら考えられなかったような不手際を何度も起こしています。
by 武井 俊文(石川島播磨重工業 社長・会長)

 

 



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