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「株式投資」の決算時の会計仕訳について

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 法人が行う「株式投資」の決算時の会計仕訳について調べてみました。

 

「株式投資」の決算時の会計仕訳について

 

 

昨年設立した会社で、若干の余裕資金があるので、それを株式投資に回しています。

その会社が属する業界が、今後伸びていく業界なので、自社の成長+αの成果が出ればと思い、そのようなことになっています。

といっても、そんな大金ではなく、ほんとに微々たる金額なのですが。。。

 

その会社が決算月を迎え、その「株式投資」の会計仕訳に関して、期末時の評価替えなどの要注意点のメモをまとめました。

 

 

「有価証券」の勘定科目

「株式投資」は、会計上「有価証券」となります。

そして「有価証券」 は、さらにその内容により、

  • 売買目的有価証券
  • 満期保有目的債券
  • 子会社株式・関連会社株式
  • その他有価証券

の4つの勘定科目に分類されます。

 

まずは 「売買目的有価証券」の場合での、期末時の会計処理について、調べてみました。

 

 

「売買目的有価証券」の期末時の会計処理:時価に洗い替えし損益を計上

投資有価証券の中には、取得時から価値が変わらないものもあれば、株価のように値段が変動しているものがあります。

変動しているものは、決算末時点での時価に洗い替えして、その評価損益を計上しなくてはなりません。

 

まず、時価>取得価額で、時価が取得時よりも高い、つまり「評価益」がある場合は、こうなります。

 

仕訳例1)取得時900円の株式が、期末に1,000円となっていた場合
借方科目 金額 貸方科目 金額
投資有価証券 100円 投資有価証券売却益 100円

 

 

逆に、時価<取得価額で、「評価損」が発生している場合は、以下のようになります。

 

仕訳例2)取得時1,000円の株式が、期末に900円となっていた場合
借方科目 金額 貸方科目 金額
投資有価証券売却損 100円 投資有価証券 100円

 

まだ売却をしていませんが「投資有価証券売却益」「投資有価証券売却損」の科目を使い、その期の営業外損益として、損益計算書に計上します。

 

 

「売買目的有価証券」の期首時の会計処理:期末時の仕訳を相殺(「洗替法」)

「洗替法(あらいがえほう)」の場合、期首時に、上記の評価益・評価損の仕訳に対する、逆仕訳を入れて、元に戻す作業を行います。

 

仕訳例3)仕訳例1の期首時の反対仕訳
借方科目 金額 貸方科目 金額
投資有価証券売却益 100円 投資有価証券 100円

 

仕訳例4)仕訳例2の期首時の反対仕訳
借方科目 金額 貸方科目 金額
投資有価証券 100円 投資有価証券売却損 100円

 

これで、従来の取得価額に戻ります。

 

 

「売買目的有価証券」の「洗替法」と「切放法」

ここまでは、期末時に、その時点での時価に洗い替えして、評価損益を計上し、翌期には、その反対仕訳を入れて、取得時の価額に戻すという「洗替法」になります。

 

「洗替法」とは別に、「切放法」(きりはなしほう)というものがあります。

これは、「洗替法」のように、翌期において取得価額への戻し仕訳を行わない方法となり、前期末の時価と、時価で評価をすることになります。

 

個人的な印象として、「洗替法」の方が、証券会社から送られてくる残高報告書に記載されている、取得時の価額を利用できるので、 実務上ラクのように思います。

 

 

「売買目的有価証券」と「その他有価証券」での仕訳処理の違い

前述した「売買目的有価証券」「満期保有目的の債券」「子会社株式及び関連会社株式」以外の有価証券の場合、「その他有価証券」という扱いになり、以下のようになります。

 

 

「その他有価証券」の期末時の会計処理:時価に洗い替え 

上の例のように、評価益・評価損が出ている場合は、以下のような仕訳になります。

 

仕訳例5)取得時900円の株式が、期末に1,000円となっていた場合
借方科目 金額 貸方科目 金額
投資有価証券 100円 その他有価証券評価差額金 100円

 

仕訳例6)取得時1000円の株式が、期末に900円となっていた場合
借方科目 金額 貸方科目 金額
その他有価証券評価差額金 100円 投資有価証券 100円

 

評価益でも評価損でも、「その他有価証券評価差額金」という、貸借対照表科目を使い、営業外損益には、その評価損益が現れません。

 

 

「その他有価証券」の期首時の仕訳

「洗替法」として、期首時に、上記の評価益・評価損の仕訳に対する、逆仕訳を入れて、元に戻す作業を行います。

 

仕訳例7)評価益の場合 (仕訳例1の反対仕訳)
借方科目 金額 貸方科目 金額
その他有価証券評価差額金 100円 投資有価証券 100円

 

仕訳例8)評価損の場合 (仕訳例2の反対仕訳)
借方科目 金額 貸方科目 金額
投資有価証券 100円 その他有価証券評価差額金 100円

 

これで、従来の取得価額に戻ります。

ここまでは、「売買目的有価証券」のときと同じです。

 

 

「その他有価証券」の「全部純資産直入法」と「部分純資産直入法」

上の仕訳は、「その他有価証券評価差額金」という、貸借対照表(BS)の純資産科目を使ったものでした。

決算時に、貸借対照表(BS)に評価損益が現れているだけで、損益計算書(PL)には影響しないものです。

これを「全部純資産直入法」といいます。

 

ところが、「評価損」は、売却時ではなく、早めに損失として計上できる方法があります。それが「部分純資産直入法」です。

 

「部分純資産直入法」では、以下のようになります。

 

期末時 

仕訳例9)取得時1000円の株式が、期末に900円となっていた場合 (部分純資産直入法)
借方科目 金額 貸方科目 金額
投資有価証券評価損 100円 投資有価証券 100円

 

期首時 

仕訳例10)取得時1000円の株式が、期末に900円となっていた場合(部分純資産直入法)
借方科目 金額 貸方科目 金額
投資有価証券 100円 投資有価証券評価損 100円

 

「投資有価証券評価損」として、損益計算書の営業外損失として計上してしまいます。

 

 翌期首には、その反対仕訳をいれます。

 

 

「その他有価証券」の「部分純資産直入法」の税務上の取り扱いに注意

なお、「その他有価証券」の「部分純資産直入法」には、注意が必要です。

売買目的外有価証券の税務上の期末評価は原価法となります(時価評価は行いません。法人税法61条の3参照)。したがって、会計上において部分純資産直入法を適用した場合の評価損に関しては損金不算入という扱いとなります。一時差異の扱いに関しては税効果会計の適用となります。

「投資有価証券評価損」として、会計上は営業外損失として計上しても、税務上は損として認識されません。

そのため、「税効果会計」として、企業会計と税務会計を別に扱わなくてはならず、少し面倒となります。

 余談ですが、「税効果会計」というのは、まだ十分理解していない科目の一つです。

 

 

「その他有価証券」と「売買目的有価証券」の 保有期間の違い

一般的に、「売買目的有価証券:短期売買」「その他有価証券:長期保有」のようなイメージがありますが、調べると、厳密には、以下のような分類定義があるようです。

 

「売買目的有価証券」として分類するためには、

(1) 定款上、有価証券の売買を業としていることが明らかで、

かつ、

(2)トレーディング業務を日常的に遂行し得る人材から構成された独立の専門部署によって保管・運用されていることが望ましいとされています。


ただし、上記の要件を満たしていなくとも、有価証券の売買を頻繁に繰り返している有価証券は、売買目的有価証券に該当するとされています(実務指針第65項)。

 

 

当社の場合、有価証券の売買が業ではなく、またトレーディング目的ではないので、「その他有価証券」として、扱うことになりそうです。

 

 

投資有価証券の取得費用の取り扱い

今回このことを調べていて、今まで「投資有価証券の買付手数料」に関して、ずっと勘違いしていたことに気づきました。 

 

投資有価証券を取得する際に、それを取り扱う証券会社で売買手数料が発生します。

そのときの仕訳を以下のようにしていました。

 

例) 900円の株式を購入し、100円の売買手数料を証券会社に払った場合
借方科目 金額 貸方科目 金額
投資有価証券 900円 預金口座 900円
支払手数料 100円 預金口座 100円

 

証券会社に支払う「売買手数料」を、その期の費用として計上していました。

ところが、調べてみると、この「売買手数料は」、取得費用として、投資有価証券に含めるということがわかりました。

 

つまり、こういう仕訳になります。

 

例) 900円の株式を購入し、100円の売買手数料を証券会社に払った場合
借方科目 金額 貸方科目 金額
投資有価証券 900円 預金口座 900円
投資有価証券 100円 預金口座 100円

 

まだまだ知らない分野があるものだな、と思いました。

 

 



成功した起業家の多くは、未来に向けて投資をしています
by 北川 邦弘

 



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