経営していた会社に、税務調査の連絡が来たときに、その時の対処の仕方について。
- 怖い?「税務調査」
- 黒字企業が狙われやすい税務調査
- 赤字企業でも税務調査が来た
- 顧問税理士がいなくても税務調査は対応できる
- 当時の税務調査の流れ
- 1)税務署からTELで「税務調査」の連絡
- 2)税務署職員の1回目の来社
- 税務職員を装った詐欺にひっからないように
- 1回目の来社時の調査内容
- 3) 税務署職員の2回目の来社
- 4)税務署を訪問:追加書類の提出
- 家族名義の銀行口座の内容が把握されている
- 税務調査の結果「更正決定等をすべきと認められません」
- 税務調査の対応方法まとめ
自分で創業し、経営していた会社に税務調査が一度来たことがあります。
突然、前触れもなく、税務署(国税)から「税務調査で会社を訪問したい」旨、連絡が入りました。
怖い?「税務調査」
特段、脱税などはしておらず、消費税など納めるべき税金は期限内に納めていたので、連絡があった時は、「なんで?」というのが、まず思ったことでした。
「税務調査」を受けるのは初めてなので、検索エンジンなどで、以下のキーワードで調べて、予備知識を得て、事前の準備などをしました。
- 税務調査 対応
- 税務調査 流れ
- 税務調査 タイミング
- 税務調査 理由
- 税務調査 注意点
上の検索キーワードで調べると、税理士さんなどのブログなどで、いろいろと細かく対応方法や注意点などが紹介されています。
いろいろみると、「税務調査」というのは恐れられているんだな、と思いました。
結果を先に言うと、この税務調査の結果、問題点等は見つからず、「税務申告の更生」もありませんでした。
黒字企業が狙われやすい税務調査
以前勤めていた会社の同僚に、税務コンサルを行なっていた人がいて、当時「国税は黒字企業を狙ってくる」という話を聞いていました。
税務調査を行うにも、税務署の職員の人数は限られていて、税金を取れないところに行かせるよりも、取れるところに行かせた方が割りがいいという話でした。
赤字企業の場合、税務調査を行い、追加の課税ということになっても、「消費税」「所得税」ぐらいしか対象にならなく、取れる金銭が少ないのです。(わざと赤字決算にして、法人税を逃れているということもありますが。)
一方、黒字企業ならば、「法人税」「消費税」「所得税」が対象となり、取れる金銭額の期待値があがります。
。。。というのが一般論でしたが、実際には赤字企業にも税務調査は来ます。
赤字企業でも税務調査が来た
その当時、経営していた会社は、売上高は毎年伸びていたものの、先行している費用があり、まだまだ赤字の状態でした。
上の「税務調査は黒字企業にしか行かないの話」が頭の中にあったので、「税務調査で訪問したい」という話があったときには、違法な税務申告・納税はもちろんしていないので、「何しに来るのか?」と思いました。
そのときの企業の状態は以下のとおりです。
- 創業して5年目
- 税務申告は毎年実施
- 納税もきちんと実施。ただし赤字だったので、国税は消費税/所得税のみ納付。
- 顧問税理士はいない(以前はいたが、当時は解約)
顧問税理士がいなくても税務調査は対応できる
税務調査に税理士は不要とは思っておらず、会社の会計内容の把握をされている税理士であれば、税務調査には非常に頼りになると思います。
当社の場合、顧問税理士は、その前の年まではいたのですが、税務調査があったときには解約していました。
税理士がいたときは、日常の会計仕分は会社側で行い、年度末の税務申告書類を税理士で作成する、という形になっていました。日頃の当社の会計内容は、あまり把握されていない状態です。顧問契約内容により、税理士の関与度は変わってくるでしょう。
税務申告書類は、税理士が一度作ってしまえば、大きな制度変更がない限り、内容に大きく変わるものでもなく、自社で申告書類が作れてしまうので、税理士の必要性が薄れていました。そして、その前年に顧問契約を解除していました。
今回の税務調査を、税理士にスポットでお願いすることもできましたのが、勉強だと思い、自分で対応しました。
会計や経理の内容が苦手な社長という場合は、税理士の力を借りた方がいいと思います。
当時の税務調査の流れ
その時の税務調査の流れは、こんな感じでした。
- 2週間ほど前:税務署からTELで「税務調査」の連絡
- X月X日:税務署職員の1回目の来社
- X月X+2日:税務署職員の2回目の来社
- X月X+7日:税務署を訪問:追加書類の提出
1)税務署からTELで「税務調査」の連絡
ある日突然、税務署から「事業所に伺いたい」旨の電話がありました。
そのときに、来社してもいい日のスケジュール調整が行われ、用意してほしい書類が告げられます。このときは「前期の総勘定元帳」でした。
2)税務署職員の1回目の来社
朝9時55分ごろ、税務署の職員が来社されました。人数は一人。
若い方が来られました。
「マルサ」のようなイメージを持っていたので、「この人、ホンモノか?」と思いました。
税務職員を装った詐欺にひっからないように
ふと、税務調査を装って、会社を訪問する詐欺なのではないかと思いました。そういうアドバイスがあったわけではなく、直感的なものです。
こちらが税務署に行くならば別ですが、税務職員と名乗る人から電話があり、来社され、会社の帳簿などを閲覧し、そして税金を払え、という構図は、金銭詐欺となる可能性も十分考えられます。
来社時に、税務署職員のIDカードが提示されますが、偽造できてしまいます。
そこで、その税務職員と名乗る方の身分証明証と、とある秘密の書類を提示していただき、それらのコピーを取りました。その方の実在確認と、何かあった時への予防手段です。
そういう書類の提示を拒み、「税務署に電話して、在籍していることを確認してくれ」と言われるかもしれませんが、電話の向こうに協力者がいれば、いくらでも虚偽ができてしまいます。
「税務調査」で頭がいっぱいになっているときでも、冷静な対応が必要です。
1回目の来社時の調査内容
今回は、税務職員が一人。
来社され、会議室に案内して、上の本人確認書類などを徴収。
その後、まずは挨拶や会社概況などを説明。
そして、あらかじめ指定されていた「前期の総勘定元帳」を確認。なお、この確認時は、会社側の人は同席していなくても大丈夫でした。「何か必要なものがあれば、声をかけてください」といえば、会議室を出て、日常業務を行えます。
お昼時間になり、外に食べに行かれ、午後1時頃に戻って来て、ふたたび帳簿の確認。
そして、夕方になり、会議室でフィードバック。
もう一度来社されたいので、その日程調整と、その日までに揃えて欲しい書類が言い渡されます。
このときは、以下の書類でした。
- 前々期の総勘定元帳
- 費用計上の領収書
- 通帳
- 取締役会議事録
- 消費税の内訳書
- とある1ヶ月の請求書・見積書・納品書の写し
3) 税務署職員の2回目の来社
このときは、追加の書類の用意に、それほど時間がかからなかったので、1回目の2日後に、ふたたび来ていただきました。日頃から、帳簿類をまとめておくとラクだと実感しました。
以前、別の会社で上場審査を担当していた際に、すぐに書類や情報を用意できるかどうかというのは、その審査官の心象に関係してくるということを思い出しました。税務調査でも、すぐに書類を用意することで、協力する姿勢を示しておいた方がいいと思います。
作業的には、1回目と同じような感じです。
朝10時頃来られて、会議室に案内して、指定された書類を確認する。お昼時に外出され、午後1時に戻って来て、ふたたび書類確認。
そして夕方にフィードバック。
金庫を見せて欲しいというので、金庫の場所に連れていき、中に入っているものを確認。金庫に会社に関係のないものを入れておくと、「なんですか、これ?」と言われるので、事前に整理しておくといいです。
4)税務署を訪問:追加書類の提出
個人の「通帳」も見せて欲しい、という依頼が2回目の調査時にあったので、2回目の税務職員の来社があってから、1週間後に税務署を訪問しました。
そこで驚いたのは、社長である自分のプライベートの銀行口座以外に、家族名義の銀行口座の内容が、税務署に把握されていました。
特段、違法的なことはしていないので、把握されても問題はないのですが。。。
家族名義の銀行口座の内容が把握されている
どの銀行に口座がある以外に、その取引内容も把握している感じでした。
会社法人の銀行口座から、個人・家族の口座に振り込みをすることで、費用と計上することも可能です。そういう脱税方法もあるのでしょう。
それをみて、ある意味、日本の税務の調査力に安心しました。よほど、巧妙にやらなければ、脱税は難しいと思います。
税務調査の結果「更正決定等をすべきと認められません」
税務調査を受けてから、約3ヶ月後に、税務署から書類が届きました。
開封してみると。。。
国税に関する実地の調査を行った結果、更正決定等をすべきと認められませんので通知します。
その文章の下に、法人税、消費税及び地方消費税、源泉所得税、源泉所得税及び復興特別所得税での、決算期間が明示されています。
更生がある場合、該当項目欄に納めるべき税金額が告げられるのでしょう。
今回は、税理士の助けを借りずに対応し、結果的に「何も問題なし」となりました。
しかし、2日間も時間を投入して、何も成果がなかった税務署職員。公務員だから、そういう日経済的な活動でも、いいのでしょうか。もっと別なことに時間を費やすべきだったのではないかと感じてしまいます。
税務調査の対応方法まとめ
- 赤字会社でも税務調査は来る
- 来社時の税務職員の身元チェック
- 会社の金庫は整理しておく
- 会議室に必要書類を置いて、自由に見ていただく。同席する必要なし
- 税務職員が追加で確認されたい書類があれば、すぐに提出
- 必要・状況に応じて税理士にも相談
- 日頃からキチンと税務申告をして、税金を納める
良い経営者は、節税もうまい。
by 本郷 孔洋