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「会長」兼「社長」って、どういうこと?

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企業規模の大きな企業の役員一覧をみると、たまに「会長 兼 社長」があったりします。同一人物が会長と社長となることの、その意味や背景について考えてみました。

 

「会長」兼「社長」って、どういうこと?

 

 

「日産自動車カルロス・ゴーン社長が4月1日付けで社長退任」のニュース

カルロス・ゴーン社長といえば、1990年代には経営がすっかり傾いてた日産自動車を、2000年初頭から経営者として指揮をとり、工場閉鎖やコストカットなどの「日産リバイバルプラン」で、みごとに経営再建されました。

職業「経営者」というのは、こういう人だな、と思います。

ちなみにカルロス・ゴーン社長の役員報酬は年間10億円とか(2015年時点)。日産以外の企業の役職も兼務されているから、それ以上ということになります。日本の場合、上場企業の社長でも、役員報酬は年間数千万円というのが一般的。実力に見合った対価ということなのでしょうか。

 

その日産のカルロス・ゴーン社長が、4月に社長を退任、というニュースが、2017年2月に発表されました。

日産自動車は(2月)23日、会長兼社長兼最高経営責任者(CEO)のカルロス・ゴーン氏(62)が社長兼CEOを退き、後任に共同CEOの西川広人氏(63)が昇格するトップ人事を発表した。4月1日付。日産の社長交代は約17年ぶりで、ゴーン氏は代表権のある会長に専念する。(時事通信)

 

ふと、ここで気になったのが、

会長 兼 社長 兼 最高経営責任者(CEO)

という役職名。

「会長」「社長」そして「CEO」も兼任というのは、どういうこと?

なお、カルロス・ゴーン社長は、2017年4月に、社長は退任しますが、会長は継続ということです。

 

 

標準的な「代表取締役 社長」

企業の役職で一般的なものが、「代表取締役 社長」。

大企業であれ、中小企業であれ、だいたいこの役職はあると思います。統計的な数字は調べていませんが。

 

 

「代表取締役 社長」の意味

ちなみに、この「代表取締役 社長」というのは、

(会社の代表権を持つ取締役)
 + 
(会社内での職位の長)

ということを表しています。

 

「代表取締役」であることは、法務局への登記事項の一つです。

一方、「社長」は、法務局への登記事項でなく、任意的なもので、名称はなんでもよいのです。(会社内での職位の長)らしい名前であれば、対外的に通用すれば、「社長」という名称でなくてもよくて、研究所的な会社であれば「代表取締役 所長」とか、生産系ならば「代表取締役 工場長」とか。そういうのでも可能です。

 

 

定時株主総会直後の取締役会で「代表取締役」を選任する

取締役は2年ごと(会社によっては1年ごと)に選任する必要があり、定時株主総会で、改めて選任手続きを行います。

この総会終了後は、全員、平の取締役という状態です。

総会後の取締役会にて、会社を代表する責務を負った人を、「代表取締役」とします。

ちなみに、「代表取締役」は一人だけ、という制限はなく、取締役全員が「代表取締役」ということも可能です。

 

 

「代表取締役社長 兼 CEO」の意味

「代表取締役社長 兼 CEO」というのも良く見かけます。

これは、

(会社の代表権を持つ取締役)
+
(会社内での職位の長)
 + 
(経営の執行責任者)

 ということを表します。

 

 

所有と経営が分離しているアメリカ型経営

このCEOをはじめ、「CFO」「COO」などというのは、執行役員制度を表したものです。アメリカの会社組織に多い呼称で、いつのころからか、(感覚的には2000年のITバブル前後から)、日本で広がってきました。

 

アメリカでは、

企業を所有する株主の中から、取締役を選任。
この取締役は、原則的に業務を行わない。取締役は所有者:株主の代表。
 ↓ 
取締役らが、会社の業務を行ってもらう人たちを集める。
集められた人たちが業務の執行役となる。

という感じで、会社の「所有」と「経営」が分離し、取締役=業務執行者 ではないことが多いです。

 

一方、日本の場合は、そこがきちんと分離しておらず、一緒になってしまっています。

 

アメリカのように、会社の「所有」と「経営」が分離していれば、会社の業務の運営状況を、所有者がチェックするということがわかりやすいです。

イメージとしてわかりやすいので、日本の野球球団運営。球団を所有しているオーナー(読売新聞やオリックスなど)がいて、その球団を優勝に導いてくれる(業務執行してくれる)監督を外部から呼んで球団運営を任せ、シーズン後に成績を確認する、という感じです。優勝や、それなりの成績がよければ、監督は留任でき、成績がひどければ、クビになります。

 

一方、日本の場合、取締役=業務執行者となり、一緒のことがほとんどなので、チェックが弱くなりやすい、という性質があります。

 

 

本題の「会長 兼 社長」の意味は?

「会長」も「社長」も、会社内での職位です。

前述のように、任意的なものです。

創業社長が、社長職を退任されて、「会長」に就くというのは、わかります。その創業者のおかげで、今の会社があるわけなので、極端な待遇は論外として、何かしらの形で報いてもよいと思います。

しかし、創業社長でなく、同一人物が、社長かつ会長、というのは、一体?

 

調べてみると、役職報酬を積み上げるため、というのが濃厚です。

内規で定めてある「社長」としての役職報酬と、「会長」としての役職報酬が、兼務していると、両方もらえるわけです。

 

 

ガバナンス的には「会長」の役目に期待されている

「会長」という職は、取締役会の議長とし、業務の執行はせずに、会社の監督に専念する、というような、ガバナンス設計することもあるようです。

たしかに、社長が業務執行の責任者で、その人が取締役会の議長も、となると、取締役会の場において、中立的な判断というよりは、どうしても、現況の業務執行側に偏りが生じしてまう可能性があります。また、視点が、今期や3年内といった、短期的にもなりやすいです。

業務を行わない会長が議長となることで、その偏りがすこし減る可能性もあるでしょう。もっとも、必ずしも、会長が中立的な判断をおこなう、ということは保証されていないのですが。。。企業小説によくでてくるように、いろいろな問題の温床がそこにあったりします。

 

 



会長は発想するのが仕事。儲けることは社長以下がちゃんとやるべき。
by 矢崎裕彦



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