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新任取締役の経営手帳

取締役のイロハ、ベンチャー、上場会社、会社法・仕組み・概念・手続き、時事話題

「スチュワードシップ・コード」と「コーポレート・ガバナンス」

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現在の株式上場企業は、従来より厳しい企業規範が求められています。

 

「スチュワードシップ・コード」と「コーポレート・ガバナンス」

 

 

機関投資家との付き合い方

株式を上場している会社にとって、機関投資家との付き合い方というのが、一つの課題になっています。

30年ほど前であれば、企業の株式は、取引銀行による株式保有、取引企業間での株の持ち合いなどが主流で、機関投資家という存在は、生保などを除けば、マイナーな存在でした。

 

 

株主としての存在感を増してきた機関投資家

当時の資金運用といえば、金利が良かったということもあり、年金などの運用も、国債・債権などを中心にしていて、株式への投資は、現在のようなウェイトよりも低い時代でした。

時代が変わり、ファンド・投資信託などの、専業の運用機関が増え、企業の株主における機関投資家というプレイヤーの存在感が増してきました。

取引所がまとめている「株式分布状況調査」によると、ファンドなどの機関投資家(信託銀行名義)・外国法人の持株金額と持株比率は、以下のようになっています。全体の約50%の株式を保有しています。

(1986年)
信託銀行 257,368億円 25兆円 7.3%
外国法人等 187,684億円 18兆円 5.3%
計43兆円 12.6%
    ↓
(2015年)
信託銀行 974,387億円 97兆円 18.8%
外国法人等 1,544,579 億円 154兆円 29.8%
計251兆円 48.6%

 

 

「株価上昇」を目論む、企業不祥事の発生

しばらくの間は、そのような機関投資家は、株価の値上がりが期待できそうな企業(=割安に見られていたり、成長が期待できそうな企業)の株式を購入して、株価が高くなったら、売却する。そのように、運用益を稼げばよかったわけです。

しかし、企業側で、企業の短期的な利益を実現し、株価の上昇を目論むあまり、いろいろな不祥事が発生してしまいました。その背景には、株価の上昇を期待する、機関投資家の存在もいました。アメリカ始め、日本でも、そうした経営者による不祥事が発生し、社会的な問題となりました。

 

 

コーポレート・ガバナンスの導入

そこで、企業の経営モラルを律する「コーポレート・ガバナンス」強化といった対策が進み、経営者の暴走を抑えるような仕組みを入れようとしました。、

 

コーポレート・ガバナンスとは、以下のようなものです。

コーポレート・ガバナンスとは

企業の事業は、多くのステークホルダー(株主・顧客・従業員・取引先・金融機関等)によって成り立っているため、経営者の利己的な意思決定を抑制し、相互の利害関係を円滑に調整しながら経営をコントロールする仕組みが必要であり、近年企業統治の観点から当概念が重要視されている。

 

コーポレート・ガバナンス強化の施策としては、

  • 執行役員制度の導入
  • 外部の委員会の設置
  • 内部統制システムの導入

などがあります。

簡単にいえば、「企業内部の経営者だけでは暴走リスクがあるので外部のチェックを入れる」「企業内部で問題が発覚した際には経営者に報告できる仕組み」といったものです。

2015年に、金融庁と東京証券取引所が、株式上場企業に対する、「コーポレート・ガバナンス」の義務化を決定しました。

 

 

今までの銀行による外部チェック機能が弱体化

メインバンク制度が機能していた時代には、企業内部の幹部に銀行から人を送ったりして、企業に対する外部のチェック機能が働いていました。

しかし、重厚長大型の企業が少なくなり、あまり銀行のお世話にならなくても済むような時代となり、従来のメインバンク制度が弱まってきています。ベンチャー系のIT系企業では、ビジネスモデルを確立したら、株式上場IPOしてしまう、ということも珍しくなりました。

 

 

機関投資家が外部チェック機能を担う

運用する機関投資家にも、社会の規律が求められ、投資先企業を監視するように要請されるようになり、スチュワードシップ・コードというものが制定されました。

スチュワードシップ・コードとは

機関投資家が、投資先企業や その事業環境等に関する深い理解に基づく建設的な「目的を持った対話」(エンゲージ メント)などを通じて、当該企業の企業価値の向上や持続的成長を促すことにより、「顧客・受益者」(最終受益者を含む。)の中長期的な投資リターンの拡大を図る 責任を意味する。  

簡単にいえば、企業に対する外部チェック機能を、機関投資家にも任せたわけです。

日本では、2014年から、このスチュワードシップ・コードが始まりました。金融庁の統計によると機関投資家214機関(2016年12月時点)が、このスチュワードシップ・コードの受け入れを表明していることになります。

まだ2年しか経っていないので、きちんと機能するかどうかも含め、これからという状態です。

 

 

 



魚は頭から腐ります。企業も同じでシッポからは腐りません。
社長がダメだからその会社は駄目になるんです。

by 岡素之



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