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社長よりもエライ?「監査役」

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「監査役は、社長を辞めさせることができる」という話を検証してみました。

 

社長よりもエライ?「監査役」

 

 

表題に「エライ」と書きましたが、「エライ」の意味は、決裁権限や人事権を持っていたりとか、いろいろとあります。ここでは「社長」の人事権を持っているかどうか、です。

 

 

「社長を辞めさせることができる監査役」というウワサ

数年前、商法から会社法に変わった時に、在籍していた会社で、その法制度の変更対応があり、その専門分野の人から

監査役は社長を辞めさせる権限を持っている

という話を聞いたことがあります。その時は、「へぇー、そうなのか」と思っただけで、詳しい話は聞きもれていました。

 

改めて、その根拠や手続方法を調べてみると、よくわからない。。。

 

 

「監査役」の権限

会社法に定める「監査役」の権限を調べてみると、

  • 監査役は、取締役(会計参与設置会社にあっては、取締役及び会計参与)の職務の執行を監査する。この場合において、監査役は、法務省令で定めるところにより、監査報告を作成しなければならない

  • 監査役は、いつでも、取締役及び会計参与並びに支配人その他の使用人に対して事業の報告を求め、又は監査役設置会社の業務及び財産の状況の調査をすることができる

  • 監査役は、その職務を行うため必要があるときは、監査役設置会社の子会社に対して事業の報告を求め、又はその子会社の業務及び財産の状況の調査をすることができる。

  • 前項の子会社は、正当な理由があるときは、同項の報告又は調査を拒むことができる。

会社法 第381条(監査役の権限)より

「代表取締役や取締役を辞めさせることができる」とは、特に明記されていない。

 

あるいは、以下の部分なのか?

  • 監査役は、取締役が監査役設置会社の目的の範囲外の行為その他法令若しくは定款に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがある場合において、当該行為によって当該監査役設置会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、当該取締役に対し、当該行為をやめることを請求することができる。

  • 前項の場合において、裁判所が仮処分をもって同項の取締役に対し、その行為をやめることを命ずるときは、担保を立てさせないものとする。

会社法 第385条(監査役による取締役の行為の差止め)より

 

しかし、この条文でも、(代表)取締役の行為を差し止めることはできるが、辞めさせるまでの権力は明記されていない。

 

 

「代表取締役」の選定及び解職は「取締役会」のみ可能

会社法を改めて見ると、「代表取締役」の職を解くことができるのは、 「取締役会」のみ。

また、「取締役会」でできるのは「代表取締役」の解職のみで、解任させることはできません。取締役ら役員を解任させることができるのは、「株主総会」。

 

  • 役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。

会社法 第339条(解任)より

 

会社法のどこにも「監査役」が「代表取締役」や「取締役」を辞めさせることができる、という明記がされていない。

 

 

「代表取締役」を解任させる手続き

考えられるのは、

  1. 監査役による取締役会の招集(会社法383条)
    取締役会の招集は各取締役が可能だが、定款で代表取締役・社長に限定していることがほとんど。しかし、監査役はその招集権限を持っている。

  2. その取締役会にて「代表取締役の解職」の議案を上程。

  3. 次に、新たな「代表取締役」の選定。
    選定しないと、後任・代表取締役が決まるまで、旧・代表取締役が継続することになる。

という手続き。

 

理論上は可能だが、 これが「監査役は社長を辞めさせる権限を持っている」とは、どうも思えない。

 

 

非常時には会社を代表する「監査役」

監査役には、こんな役割もあります。

  • 第三百四十九条第四項、第三百五十三条及び第三百六十四条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる場合には、当該各号の訴えについては、監査役が監査役設置会社を代表する。

会社法 第386条(監査役設置会社と取締役との間の訴えにおける会社の代表等)より

 

通常、社長などの「代表取締役」が、その名の通り、会社を代表して、契約の締結や、裁判での代表者となります。

しかし、会社と取締役の間で訴訟が生じた際には、なんと「監査役」が会社を代表することになるのです。何か事案が発生し、その件で、会社側が取締役を訴えるかどうも、監査役が決めることになります。

 

いろいろと調べてみたけど、「監査役は社長を辞めさせる権限を持っている」というのは、何を根拠にしているのかが、よくわかりませんでした。この話を聞いたときも、直接的ではなく、間接的には、そういう権限を持っている、というような話でした。会社法の雑則の中に、何かそういうことが明記されているのだろうか。

 



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